【2026年版】原因別に効く!マンションの空室対策11選と失敗例

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空室の期間が長引くと、入ってくる家賃が減るのはもちろん、毎月のローンの返済や修繕積立金の支払いにも響いてきます。

とはいえ、空いている理由に合わない手を打つと、出費がかさむばかりで成果につながらないことも多く見られます。

この記事では、マンションの空室を埋めるための方法を「募集力」「仲介力」「物件改善」「管理体制」の4カテゴリに分け、全11の施策をかかる費用の大きさ別に紹介します。

まずは部屋が埋まらない理由を見きわめたうえで、かけた費用に対して効果が見込める施策から順に手をつけていくのがおすすめです。

また、本章に入る前に不動産を管理会社に依頼する際の大事なことをお伝えしておきます。

不動産の管理会社選びは、収益やトラブルの有無を左右する重要なポイントです。

「どこに相談すればいいのか分からない…」という方も多いですが、安易に決めてしまうと後悔するケースも少なくありません。

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目次

【比較表】マンションで使える空室対策11選

【比較表】マンションで使える空室対策11選

空室対策を「募集力・仲介力・物件改善・管理体制」という4つの分類に分け、それぞれにかかる費用の目安と、効果が表れるまでの早さを一覧にしています。

空室が続いている原因をまず見極め、その原因に合った施策から優先して着手することをおすすめします。

分類施策費用の目安効果の早さ
募集力物件ならではの魅力を洗い出して言葉にする無料★★★
募集力ネット上での入居者募集に力を入れる無料〜低★★★
募集力写真や募集内容の情報量を増やす無料〜低★★★
募集力ポータルサイトへの掲載方法を工夫する無料〜中★★☆
仲介力内見のハードルを下げる工夫をする無料〜低★★★
仲介力地元に根ざした不動産会社へ相談する無料★★☆
仲介力仲介会社からの問い合わせへ素早く返答する無料★★★
物件改善入居希望者に人気の設備を取り入れる中〜高★★☆
物件改善改修内容を費用対効果で見極めて手を入れる高★★☆
管理体制共用スペースをこまめに清掃し見た目を保つ無料〜低★★★
管理体制入居中のフォローで退去を減らす無料〜低★★☆

ポイント: 費用をほとんどかけずに早めの効果が期待できるのは、募集力と仲介力に関わる施策です。最初に検討したい候補といえるでしょう。物件改善はまとまった出費を伴うものの、家賃の引き上げにつながる可能性があり、中長期で収益を立て直す手段として役立ちます。

部屋単位での貸し出しについて詳しく確認したい方は、空き部屋を貸す方法5つをまとめた記事をご覧ください。それぞれの方法がどのようなケースに合うかを解説しています。

マンションで空室が生じる主な要因

マンションで空室が生じる主な要因

空室対策に取りかかる前に押さえておきたいのが、空室を生んでいる理由です。原因があいまいなまま手を打つと、成果につながらずにコストばかりが膨らむおそれがあります。

ここでは、次の2つの角度から空室の要因を整理していきます。

賃貸市場で高まり続ける空室率

総務省が公表した「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日時点)では、全国の空き家は900万2千戸にのぼり、これまでで最も多い数となりました。

内訳を見ると、約443万6千戸が賃貸用の空き家で、空き家全体の約半数(49.3%)にあたります。5年間で約10万戸の増加となっており(2018年は約433万戸)、賃貸住宅の空室率は上がり続けている状況です。

区分2018年2023年変化
空き家総数848万9千戸900万2千戸+51万3千戸
賃貸用空き家約433万戸約443万6千戸+約10万戸
空き家率13.6%13.8%+0.2pt

※出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果」(確報PDF)

人口が減り少子高齢化も進む一方で、賃貸住宅の供給は止まっていません。物件同士の入居者獲得競争は厳しさを増しており、空室を放っておいても借り手が見つかる状況は過去のものになりつつあると考えられます。

空室が長引く代表的な要因

空室の要因は、「オーナーの工夫で改善できるもの」と「オーナーの力では解決しにくいもの」の2つに大別できます。

公益社団法人 全日本不動産協会がまとめたデータでは、退去理由として多いものが次のように並んでいます。

ランク退去のきっかけ比率
1位転勤23.1%
2位自宅購入12.5%
3位実家に戻る・家族と同居11.7%
4位結婚・同棲10.9%
5位転職・退職・就職8.3%

※出典: 公益社団法人 全日本不動産協会「退去を防ぐことは『究極の空室対策!』」(管理会社複数社の解約データをまとめたもの。記事中に集計期間の記載なし)

転勤、自宅購入、実家への転居、結婚、転職という上位5項目は、いずれも入居者の人生の節目によるもので、オーナー側で食い止めるのは難しいといえます。

ただし、騒音や近隣とのもめごと、設備の故障などを理由とした早い時期の退去であれば、オーナーの対応によって防げるケースもあります。

以下の診断チャートを手がかりに、ご自身の物件で空室が続く理由をチェックしてみてください。

空室対策診断チャート
空室対策の診断チャート(タップで拡大表示)

マンションの空室が解消しない要因を整理すると、大きく次の4種類に分けられます。

分類代表的な要因改善の余地
募集力不足物件のアピールポイントが入居希望者に届いていない、広告の情報量が少ない◎ 改善しやすい
仲介力不足内見のハードルが高い、仲介会社との協力関係が弱い◎ 改善しやすい
物件の魅力不足設備が古く今のニーズに合わない、室内の傷みが目立つ○ 費用をかけて改善
管理体制の問題共用部の清掃が行き届かない、入居者への対応が遅い、退去につながる問題を放置している◎ 改善しやすい

次のセクションでは、マンションに有効な空室対策11選を4つの分類ごとに一覧表で整理し、比べていきます。

「募集力」を底上げする空室対策4つ

「募集力」を底上げする空室対策4つ

ここでいう募集力とは、部屋探し中の人の目に物件がとまり、「実際に見てみたい」と感じてもらえるかどうかを左右する力を指します。

募集力を底上げするために取り組みたい対策は、次の4つです。

物件ならではの魅力の洗い出しと言語化

最初の一歩は、オーナーご自身が物件の持つ魅力を正しくつかむことです。

物件をよく知っておくと、前面に出したい長所や、どんな入居者層に合うのかがはっきりし、アピールの方向性も定まりやすくなるためです。

加えて、見つけた長所を仲介会社と共有しておけば、担当者が部屋探し中の方へ物件をすすめやすくなります。

少子高齢化の影響で住む人の数より物件数のほうが多いともいわれる今、他物件との違いを打ち出すことが重要です。

物件の魅力は、次の3つの角度から探ってみましょう。

周辺環境・立地のチェック

入居を検討する人にとって、立地は欠かせない判断材料です。どんな人に向いた物件かを思い描きつつ、周辺を実際に歩いてみたり地図で確かめたりしてみてください。

立地面でチェックしたい項目:

  • 物件と最寄り駅との距離
  • スーパー・コンビニ・飲食店・銀行といった近隣の施設
  • 学校(学区)や病院など、暮らしに関わる施設の情報
  • 公園の有無や道幅、交通量

例)徒歩5分以内で駅に着くため通勤・通学がしやすい/遅い時間まで開いているスーパーが近くにあり一人暮らしの方にも向いている/小学校へ向かう道は交通量が少なめで安全面の心配が小さい

室内・建物のチェック

室内や建物を確かめる方法としては、実際に部屋で昼から夜まで過ごしてみるのがおすすめです。

かつては静かだった部屋でも、隣室や上の階に子育て世帯が入居し、生活音が気になるようになっているケースも考えられます。また、周りの建物の影響で日当たりや窓からの眺めが変わっていることもあるでしょう。

入居する立場に立って、日中から夜まで室内で過ごし、そこでの生活を具体的に思い描いてみましょう。

マイナス面に思える点でも、部屋を探す人によってはメリットとして受け止められる場合があります。視野を広く持って長所を探してみてください。

例)子どもの声がにぎやかな環境なので、生活音に気をつかいがちな子育て世帯に向いている/周囲が落ち着いていて、静けさを重視するテレワーカーに向いている

家賃相場のチェック

部屋を探す人は家賃を1つの「目安」として物件を比べるため、家賃の調査も欠かせません。

家賃面で打ち出せる長所が見つかれば、募集力の向上にダイレクトにつながるので、近隣のマンションと比べながら優位な点を探してみましょう。

調べ方には、①ネットで相場を検索する ②不動産会社に尋ねる の2つがあります。

実際に調べると、相場が以前と変わっていることがわかる場合もあります。状況次第では、家賃を見直して競争力を持たせるのも有効な選択肢です。

例)駅から5分という同条件の近隣物件より家賃が手ごろ/フリーレントを導入しており、入居時の初期費用を抑えられる

インターネットでの募集強化

今では、賃貸物件探しの手段としてインターネットを使うのが一般的になっています。

まずは、仲介をお願いしている不動産会社が自社サイトに物件情報を載せているかを確かめてみましょう。載っていなければ、ネットで部屋を探している人の目に触れる機会がありません。

さらに、たとえ自社サイトに掲載されていても、SEOやリスティング広告などで検索結果に出てくる工夫をしていなければ、集客にはつながりにくいと考えられます。

不動産会社にネットの活用状況を聞いたうえで、改善できる点がないか話し合ってみるとよいでしょう。

物件写真・掲載情報の充実

部屋探しをしている人がまず目にするのはネット上の募集情報で、物件の「第一印象」を決める場所といえます。

写真が暗い・枚数が少ない・撮影時期が古いなどの状態だと、内見に進む前に選択肢から外れてしまうおそれがあります。

募集情報の中身を厚くするために意識したい点を、下の表にまとめました。

要素工夫のポイント
写真明るく清潔な印象の写真を10枚以上用意。室内に加え、共用部や周辺の様子がわかる写真も載せる
間取り図寸法を正確に記した図面を用意。家具の配置例を添えるとさらに親切
物件コメント立地や室内の調査でわかった長所を具体的に書き込む
設備情報設備は抜けのないよう一通り記載し、人気の高い設備は目に留まるよう強調

写真の入れ替えや紹介文の見直しを仲介会社にお願いするだけで、問い合わせが増える場合もあります。

住宅情報サイトの戦略的な使い方

SUUMO・LIFULL HOME’S・at homeといったポータルサイト(住宅情報サイト)は、部屋探しをする人の多くが最初にアクセスする窓口です。

こうしたサイトに物件が載っているかどうかで、募集力は大きく変わってきます。

ポータルサイト活用で押さえたい3つのポイント

①掲載されているかを確かめる

最初に、仲介会社が主なポータルサイトへ物件を載せているかを確認しましょう。「載せていない」「1サイトにしか載せていない」といった場合は、見直しの余地があります。

②掲載情報の中身を見直す

載っていても、写真の枚数が少ない、紹介文がひな形のまま、設備欄が空欄といった状態では、ほかの物件の中で目立たなくなってしまいます。先ほど取り上げた掲載情報を充実させるコツを、ポータルサイト側の掲載にも活かしてもらうよう依頼しましょう。

③掲載プランを見直す

ポータルサイトによっては、無料と有料の掲載プランが用意されていることがあります。空室期間が長引いているなら、表示順位が上がりやすい有料プランへの変更を不動産会社と検討するのも一つの方法です。とはいえ、かかる費用に見合う効果が得られるかは慎重に見極めましょう。

「仲介力」を引き上げるための空室対策3つ

「仲介力」を引き上げるための空室対策3つ

続いて、仲介力の向上につながる取り組みを見ていきます。仲介の成果は不動産会社の腕にかかっていると考える方もいるでしょう。しかし実際には、オーナー側が協力しなければ、仲介力はなかなか高まりません。

押さえておきたいポイントは、次の3つです。

案内のしやすい物件づくり

入居希望者を物件へ連れて行きやすい状態に整えておくと、空室の解消に役立ちます。

担当者が迷わず、安心してすすめられる物件ほど案内先に選ばれやすくなるためです。

見学に案内しやすい物件には、たとえば次のような特徴があります。

  • 鍵は現地に置いたキーボックスから取り出せる
  • 事前にオーナーへ連絡しなくても、好きなタイミングで見学できる
  • 申込みの有無といった最新の状況が、不動産会社と共有されている
  • どの時間帯に訪れても清潔で、心地よく見て回れる

反対に、オーナーがつかまらずすぐに見学へ案内できない、鍵を受け取るためにオーナー宅まで出向く必要がある、共用部分にゴミやチラシが散らかっている、といった不安材料を抱えていると、決まりにくい物件と見なされ、担当者が紹介を控えるおそれもあります。

見学のハードルを下げて内見件数を増やすことが、空室対策の有力な一手になります。

地元に強い不動産会社への相談

エリアに根づき、入居者を集める力を備えた不動産会社へ相談するのも効果的な方法です。不動産会社がどれだけ集客できるかによって、空室が埋まるかどうかは大きく左右されます。

集客力の有無を見極めるときは、次のポイントをチェックしてみてください。

  • SUUMO、LIFULL HOME’Sなどの住宅情報サイトに物件を掲載しているか
  • 独自のホームページを運営しているか
  • 掲載写真や説明文で、物件の良さがしっかり伝わっているか
  • 物件のあるエリアの周辺事情に通じているか
  • 該当エリアで求められる条件や賃料の相場をつかんでいるか

地元で長く営業している会社でも、ネットでの発信に取り組んでいない場合は、集客面で物足りない可能性があります。

ネット上で集客の状況をひと通り確かめたら、直接会社を訪ねて相談し、エリアに関する知識の豊富さや信頼できるかどうかを見極めると安心です。

不動産会社からの問い合わせへの素早い返答

不動産会社から届く連絡に素早く応じることも、仲介力の底上げにつながります。

担当者から入る連絡は、入居を検討している方からの疑問や希望条件といった、契約の成否を左右する内容であることが多いためです。

判断を下せるオーナーがつかまらず疑問が残ったままになると、検討者が別の物件に決めてしまうケースも珍しくありません。

せっかくの契約機会を取りこぼさないよう、すぐに連絡がつく体制を整えておきましょう。

頻繁なやり取りが難しい場合は、一定の範囲で判断を不動産会社に任せておくのも1つのコツです。たとえば「賃料はこの金額までなら下げてよい」「敷金・礼金はなしにしてよい」といった形で、あらかじめ線引きを伝えておく方法があります。

担当者との意思疎通がスムーズになるほど、仲介力も高まりやすくなる点を覚えておくとよいでしょう。

「物件」そのものを見直す空室対策2つ

「物件」そのものを見直す空室対策2つ

入居希望者が好む間取りや設備は、時代の流れに合わせて移り変わります。部屋を今の需要に合う形へ整えれば、埋まらなかった空室に入居が決まるケースもあります。

物件のハード面を見直す空室対策として、次の2つを紹介します。

入居希望者に支持される設備の追加

評判の良い設備を後から備え付けることは、空室を減らす手段として効果が見込めます。

暮らしを便利にする設備がそろっていると、内見に来た人が住んだあとの快適な毎日を思い描きやすくなるためです。

不動産会社520社を対象にした全国賃貸住宅新聞「入居者に人気の設備ランキング2025」では、入居の決め手として支持を集めた設備が次のように示されています。

ランキング一人暮らし向けファミリー層向け
1位エアコンエアコン
2位室内洗濯機置場室内洗濯機置場
3位TVモニター付きインターホンTVモニター付きインターホン
4位インターネット無料独立洗面台
5位温水洗浄便座温水洗浄便座

※出典: 全国賃貸住宅新聞「入居者に人気の設備ランキング2025」

加えて、賃料を上げても入居者が見つかる「付加価値アップ設備」の部門を見ると、一人暮らし向けとファミリー層向けのどちらも1位は「インターネット無料」という結果でした。

設備を入れる際のコストの目安

導入する設備コストの目安補足
インターネット無料(Wi-Fi)初期費用2〜5万円/室+毎月約500円/室建物全体だと数十万円〜100万円超(戸数や配線の方式によって異なる)
宅配ボックス(集合住宅)4〜5万円/ボックス機械式の場合。電気式なら電気工事が別にかかる
TVモニター付きインターホン3〜8万円/室今ある配線の状況によって上下
温水洗浄便座2〜5万円/台取り付け費を含む

建物のつくりや収支の都合で導入が難しい設備もあるでしょう。それでも、設備を少し増やすだけで内見の件数が伸びることは考えられます。部屋探しをする人の多くが、設備の充実度を判断材料として重く見ているからです。

設置にはコストが発生するので、将来の利回りや収支への影響を見積もっておくことは欠かせません。そのうえで、空室を埋める有力な手段のひとつとして検討してみてください。

コストと効果を見極めたリフォームやリノベーション

部屋に手を入れて改修するリフォームも、空室解消に役立つ方法です。

まとまった出費は伴いますが、部屋探し中の人の大半は、清潔で不具合の心配が少ない住まいを望んでいます。

なかでも水回りは、日々の暮らしやすさに直結する場所であると同時に、故障や不具合が起こりやすい箇所でもあります。キッチンや浴室などの水回りを新しくするだけでも、入居の決め手として大きな効果が見込めるでしょう。

改修工事にかかる費用の目安(ワンルーム・1Kを想定)

工事の種類費用の目安おもな工事の中身
表層リフォーム80〜100万円壁紙の貼り替え+床材の重ね張り
設備交換込みリフォーム150〜200万円内装に加えてキッチン・浴室・洗面台を交換
スケルトンリフォーム300万円台後半〜900万円下地から丸ごと改修(間取りの変更も可能。広さや仕様によって金額は大きく上下)

一方で、間取りまで作り替えるリノベーションのような大規模工事は、実施するかどうかを慎重に判断したいところです。

室内を新築同様に仕上げたとしても、建物の築年数そのものは古いままなので、新築物件並みの家賃を付けるのは難しいと考えられます。

部分的なリフォームでも部屋の印象は清潔になり、今の家賃より高い金額で募集できるケースもあります。賃貸運営の事情に明るい不動産会社と相談し、想定賃料や利回りから使える予算を割り出したうえで、無理のない範囲の改修を進めるとよいでしょう。

ポイント 〔新サイト名〕編集部

工事費が数百万円規模までふくらむと、賃料収入で元を取るには長い年数がかかります。投資を回収しきれるか不安があるときは、着工を決める前に「現状のまま売却した場合の価格」と比べておくと安心です。
売却と賃貸のどちらを選ぶかの判断ポイントも確認し、大切な資産を目減りさせない選択をしてください。

「管理体制」の見直しで進める空室対策2つ

「管理体制」の見直しで進める空室対策2つ

空室を減らすには、入居者が長く暮らせるような管理の仕組みづくりにも目を向けることが大切です。

新たな入居者を探す際には仲介手数料や広告費が発生するため、今いる入居者の退去を食い止めることが、費用対効果の面で特に優れた空室対策と考えられます。

ここでは、管理体制の見直しにつながる2つの対策を取り上げます。

共用部の清掃と美観維持の強化

共用スペースをきれいに保つ取り組みには、空室対策として二通りの効果が見込めます。

①内見者に与える最初の印象を良くする

物件の見学に訪れた人の目にまず入るのは、エントランスや廊下といった共用スペースです。散らかったゴミやチラシ、清掃の行き届かない様子が目に留まると、部屋の中を確認してもらう前に検討対象から外れることも考えられます。

②今住んでいる入居者の満足度を保つ

毎日通る共用スペースが清潔であれば、入居者が「この物件に住み続けたい」と感じる大きなきっかけになります。

清掃を行き届かせるためのポイントを、次の表にまとめました。

区分取り組みの内容
日々の清掃週1〜2回を目安に階段・廊下・エントランスを掃除し、ゴミ置き場も整えておく
定期的な清掃排水溝や外壁、植栽を月1回チェックし、あわせて清掃する
美観の維持切れた共用灯はすぐに取り替え、掲示物の整理や放置自転車の撤去も行う
外部への委託オーナー自身での管理が難しいときは、清掃会社へ依頼することも選択肢になる

退去を減らす入居者フォロー体制

入居者が抱える不満や不安を早い段階で解消できる体制は、退去を防ぐうえで高い効果が期待できます。

公益社団法人 全日本不動産協会の調査によると、退去理由の上位を占めるのは主にライフイベントですが、入居から1年以内に退去するケースでは「騒音トラブル」「近隣トラブル」「設備不具合」がきっかけになりやすいとされています。

入居者が退去した理由 円グラフ
参考)GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べのデータを参照して作成

こうした問題の多くは、素早く動ける体制を整えておけば、退去につながらずに済む見込みが高いと考えられます。

退去防止に役立つ取り組みを、以下の表に整理しました。

分類取り組み押さえたい点
トラブルへの対応24時間受け付ける窓口を用意騒音や水漏れなど、急ぎの対応が求められる問題に備えておく
設備の管理故障や不具合を素早く修理設備への不満は退去理由として上位に挙がるため、そのままにしない
入居者との対話入居者アンケートを定期的に実施不満を早めにつかみ、退去につながる前に手を打つ
契約更新時の対応更新のタイミングで条件を見直す長く住む入居者には、設備の入れ替えや家賃の据え置きといった優遇も検討する

今の管理体制に不安を感じるなら、賃貸管理の専門家へ任せる方法もあります。賃貸管理会社を選ぶときのポイントを参考にしながら、委託先の見直しも検討してみてください。

あわせて賃貸管理の基礎知識と委託するメリットにも目を通しておくと、自分に合うのは自主管理か委託管理かを見極めやすくなるでしょう。

避けたほうがよい空室対策4選

避けたほうがよい空室対策4選

インターネットで空室対策を調べると、導入に慎重さが求められる手法も数多く見つかります。

一概に禁止とは言えないものの、実施したあとで思わぬもめごとを招くおそれがあるため、落ち着いた判断が求められます。

下準備なしでの入居条件の拡大(ペット・楽器・外国人の受け入れ)

早く部屋を埋めようとして、ペットの飼育や楽器の演奏、外国籍の方の入居を新たに認める場合は、事前の備えが欠かせません。

ペットを認めるとき:

住まいを離れる理由として、「騒音問題」は上位によく挙がります。動物の鳴き声をうるさいと感じる方は少なくなく、住み始めてから苦情につながるおそれがあります。

今の入居者が動物の飼育禁止のルールのもとで暮らしているなら、動物のいない環境を評価して部屋を選んだ可能性もあります。加えて、飼育後の部屋は原状回復にかかる費用が一般的な退去時よりもかさむ傾向があります。

楽器の演奏を認めるとき:

演奏の音は空気中を伝わるほか、床や壁を通じて隣室や上下階へ響く場合もあります。 遮音のための工事を済ませていない段階で、演奏を解禁して入居者を募るのは控えたほうが無難です。十分な防音措置を整えてから受け入れの範囲を広げる流れが望ましいでしょう。

外国籍の方を受け入れるとき:

外国籍の入居者との間では行き違いからもめごとが生じる例もあるため、十分な検討をせずに受け入れるのは避けたほうがよいでしょう。言葉や暮らし方の違いによってルールの受け止め方に差が出ることや、賃料が滞るリスクも視野に入れておく必要があります。受け入れを決めた場合は、意思疎通ができる体制を整え、ルールの理解に食い違いが生まれないよう工夫することが重要です。

根拠の乏しい賃料の引き下げ

賃料や敷金・礼金を下げて入居者を呼び込む方法には、慎重さが求められます。

周辺の相場を上回っているなら、引き下げに合理性がある場合もあるでしょう。しかし、利益が出ない水準まで賃料を落とすと、借入金の返済や建物の修繕費用をまかなえなくなります。

とりわけ気をつけたいのは、次の2点です。

懸念点詳細
賃料を元に戻しにくい賃料の相場は時間の経過とともに下がっていくため、いったん引き下げた賃料を元の水準へ戻すのは現実的ではない
入居者層の変化賃料の安さだけで選んだ入居者は、短い期間で退去しやすい傾向がある

賃料を見直す場合は、近隣の競合物件や入居希望者の需要を入念に調べたうえで、賃貸経営の実務に明るい不動産会社の意見も聞きながら、時間をかけて判断してください。

適正な家賃を決める手順をまとめた解説も、あわせてご覧ください。

費用をかけすぎる改装工事

リノベーションは入居者を呼び込む手段として効果が期待できる一方、かけた費用に見合う効果が得られるかを、着手する前に見極めることが大切です。

設備の入れ替えにとどまらず間取りの変更まで伴う大がかりな工事となるので、ワンルームであっても300万円台後半〜900万円ほどの出費になる場合があります。

工事後は高めの賃料でも借り手がつきやすくなりますが、投じた資金を取り戻せなければ事業として成立しません。内装を一新しても建物の築年数はそのままなので、新築並みの賃料を付けるのは難しい点も頭に入れておきましょう。

工事にお金をかけすぎないために確認したい項目を、次の表にまとめました。

確認項目目安
回収までの期間賃料の上乗せ分で5年以内に元が取れるか
周辺物件との比較近隣の賃料相場をもとにしても回収の計算が合うか
部分的な改修という選択肢水回りだけの刷新(80〜100万円)でも十分な効果を得られないか

大きな金額を投じる場合ほど、収支の試算を事前に丁寧に行ってから判断することが求められます。

家具・家電を備え付けて貸す際の落とし穴

ベッドやテーブル、冷蔵庫、洗濯機といった暮らしに欠かせない品をオーナー側でそろえ、部屋とあわせて貸し出す形態を、家具・家電付き物件と呼びます。

マンションでも取り入れる例が増えつつある貸し方ですが、導入にあたっては気をつけたい点があります。

設置した家具や家電が壊れたときの修理も、オーナーが引き受けることになるためです。

故障が起きた場合は、メーカーへの連絡から修理代の支払いまでをオーナーが担います。賃料を高めに設定しやすい反面、手間や出費も増える点は見逃せません。

借り手が見つかりやすいという利点から空室対策として勧められることもありますが、負担が増す面もあるため、採用するかどうかはじっくり検討するのがおすすめです。

ポイント 〔新サイト名〕編集部

部屋が空くと焦ってしまい、「ひとまず賃料を下げる」「ペットを解禁する」といった手軽な策にすぐ頼りたくなりがちです。しかし、空室を生んでいる根本の理由を確かめないまま手を打つと、かえって収益を落としてしまうおそれがあります。まずは「退去の理由は何だったのか」「内見の申し込みが入らないのはなぜか」を数字で確かめましょう。そのうえで、費用に見合う効果があるかを見極めてから動くことが大切です。遠回りに見えても、着実な一歩が結局は近道になります。この考え方は賃貸経営にもそのまま当てはまります。


よくある質問

マンションの空室につながりやすい原因は?
入居者が退去する理由を見ると、転勤が23.1%、自宅購入が12.5%と、生活の変化にともなうものが上位に並んでいます。その一方で、騒音をはじめとする近隣とのトラブルや、設備に対する不満がきっかけとなり、短い期間で退去してしまうケースも少なくないと報告されています。こうした理由による退去は、オーナーや管理会社がどう対応するかによって防げる可能性があります。
リフォームで空室を埋めたいときに気をつけたい点は?
リフォームを考えるときに何より大切なのは、かけた費用に見合う効果が得られるかを見極めることです。ワンルームを例にとると、クロスや床を張り替える表層リフォームは80〜100万円、設備の交換まで含めると150〜200万円、スケルトンリフォームの場合は300万円台後半〜がひとつの目安とされています。最初は水回りを新しくするといった、費用に対して効果の大きい部分的な改修から考えてみるとよいでしょう。
管理会社を替えるかどうかの判断材料は?
ネットでの集客に取り組んでいない会社や、物件を住宅情報サイトへ載せていない会社は、入居者を集める力が十分とはいえない可能性があります。どのような方法で募集を行っているか、エリアの事情をどこまでつかんでいるか、入居者へていねいに対応できているかといった点に注目して、管理会社の変更を考えてみてください。
避けたほうがよい空室対策は?
安易に家賃を下げること、防音の手当てをしないままペット可・楽器可へ条件を緩めること、費用対効果を確かめずにリフォームをしすぎることは、控えたほうが無難です。なかでも家賃は、いったん引き下げると元の水準へ戻すのがきわめて難しくなります。値下げを考える前に、募集情報を充実させる、設備を導入するといったほかの手段を検討してみましょう。
空室対策にはどの程度の費用が必要?
かかる費用は、どの対策を選ぶかで大きく変わります。物件の強みを把握する、写真を充実させる、内見しやすい環境を整えるといった募集力・仲介力を高める取り組みであれば、費用はほとんど発生しません。設備の導入では、インターネット無料の初期費用が2〜5万円/室、宅配ボックスについては4〜5万円/ボックスほどとされています。リフォームになると80万円〜数百万円と金額に開きがあります。まずは費用負担の少ない、募集力・仲介力を磨く取り組みから着手するのがおすすめです。
空室対策は管理会社に依頼できる?
多くの賃貸管理会社では、空室対策を支援するサービスを用意しています。募集活動のてこ入れや物件の住宅情報サイト掲載、内見時の案内、入居者とのやり取りなどをまとめて任せることが可能です。もっとも、提供されるサービスの中身や集客の力は会社ごとに違いがあるため、いくつかの会社を比べたうえで選ぶことが大切です。

まとめ

今回は、空室を埋めるための手立てを、募集力、仲介力、物件改善、管理体制という4カテゴリに分け、合計11の対策として紹介しました。

押さえておきたい要点は次のとおりです。

  • まずは空室が生まれている理由の見極め — 理由がわからないまま手を打っても、お金ばかり出ていき成果につながらないおそれがあります
  • 出費の少ない施策から着手 — 募集や仲介まわりの見直しは、ほとんどお金をかけずに早めの効果が見込めます
  • 避けたい施策もあわせて把握 — 深く考えずに賃料を下げることや、防音の手当てを伴わない入居条件の緩和、やりすぎた改装は、かえって状況を悪くする場合があります
  • 入居者に長く住んでもらうことも空室対策の一つ — 管理のあり方を見直す取り組みは、かけた費用に対して得られる効果がとりわけ大きいといえます

どの物件にも通用する万能の手立てはありません。所有する物件の現状をきちんとつかみ、かけた費用に見合う効果が期待できるものから順に進めていきましょう。

入居者が決まらない期間が長引き、改装と売却のどちらに進むかで悩んでいるときは、マンションは売却と賃貸のどちらがよいかを判断するポイントにもあわせて目を通してみてください。

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田崎 義人のアバター 田崎 義人 賃貸不動産経営管理士

大学在学中に、人材派遣・セールスアウトソースのスタートアップに参画。その後、賃貸不動産会社専門商社に移り、新規事業開発・営業責任者として東証マザーズ上場後に執行役員を務める。
【資格】
賃貸不動産経営管理士

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