空き家をどう手放すかを考える際、候補に入れておきたい方法が「買取」です。個人の買主を探すのではなく、不動産のプロである買取業者に物件を直接購入してもらう売り方を指します。
買取で提示される金額の目安は、仲介で売った場合の50~80%程度といわれています。
建物を解体せずに済み、軽微なリフォームを施せば再販できそうな物件であれば、仲介で売る場合の80%程度まで届くケースもあるようです。
反対に、解体が前提となる物件では、仲介での売却額に対して50%程度にとどまる傾向があります。
業者へ売却する際は、おおむね次のような手順で進みます。
本記事では、空き家を業者に買い取ってもらう方法に絞って、利点と気をつけたい点、手続きの進め方をわかりやすく整理しました。
トラブルを避けるためのコツや注意しておきたい事柄もあわせて確認できる内容です。業者への売却を検討中の方は、判断材料のひとつとしてお役立てください。
また、本章に入る前に処分に困っている訳ありの物件をお持ちの方をお伝えしておきます。
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空き家を早く手放したい方へ|買取を選ぶ利点と適したケース

まずは、空き家を業者に買い取ってもらう方法について、押さえておきたい基礎を整理します。
- 空き家買取の基本構造と仲介との相違点
- 買取で得られる利点
- 買取で注意したい弱点
- 急ぎの売却で買取が選ばれる理由は「買い手探しが要らない点」
- 再建築不可・築古の空き家にも売却の道が残る理由は「相手と手段の工夫次第」
順を追って、ひとつずつ解説します。
空き家買取の基本構造と仲介との相違点
空き家買取とは、空き家の持ち主である売主から、買取業者である不動産会社が物件をじかに購入する取引の形を指します。
流れとしては、業者が物件を調べて査定し、買い取れる金額を売主へ示すところから始まります。
示された金額に売主が納得して双方の合意がまとまれば、売買契約を結び、取引へと進みます。

空き家の売却でよく選ばれているのは、不動産会社に仲介を頼み、購入者を募る方法です。
両者の主な相違点は、次の表のとおりです。
【買取・仲介の比較】
| 比較項目 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 取引の形 | 買取業者である不動産会社が自ら購入する | 不動産会社が間に入り、個人などの一般の買主へ売り渡す |
| 仲介手数料 | かからない | 発生する |
| 売却にかかる期間 | 最短1週間程度で完了するケースもある | 数ヶ月以上かかることも少なくない |
| 価格決定の方法 | 業者が示した額に売主が同意して決まる | 相場を目安に、売主と買主の話し合いで決まる |
※仲介による一般的な売り方については、家を売る方法にくわしくまとめていますので、参考にしてください。
買取には利点と弱点の両面があるため、以降の章で順にご説明します。
親から受け継いだ実家が空いたままになっている方は、実家が空き家になったときの対処法もご覧ください。片付けの段取りから売却までの手順を解説しています。
買取で得られる利点
買取を選ぶ利点は、主に次の3点に整理できます。
短期間で手放せる
1つめの利点は「短期間で手放せる」ことです。
手続きが終わるまでの日数を短く抑えられる点は、買取ならではの強みです。
通常の仲介では、売り出しから契約、決済・引渡しに至るまで、数ヶ月〜半年以上を要するケースもよく見られます。
【参考:仲介で売る場合の一般的な手順】

買取であれば、取引の相手は買取業者である不動産会社そのものです。仲介のために媒介契約を結んだり、購入者を見つけるための売り出しを行ったりする工程を省けます。

金額などの条件面で合意できれば、手続きは最短1週間程度で終わることもあります。
仲介手数料の支払いが不要
2つめの利点は「仲介手数料の支払いが不要」な点です。
先に触れたように、買取は業者との直接の取引なので、間に仲介役を立てる必要がありません。
仲介で売る場合は不動産会社へ仲介手数料(※)を支払いますが、買取ならこの費用は発生しません。
※仲介手数料の上限額は、売買代金に応じて次のように定められています。
【仲介手数料の上限額の目安】
| 売買代金が200万円以下 | 税抜の売買代金×5% |
| 売買代金が200万円超400万円以下 | 税抜の売買代金×4%+2万円 |
| 売買代金が400万円超 | 税抜の売買代金×3%+6万円 |
参考:全日保証「家を売る。」
仮に空き家が1,000万円で売れたとすると、仲介手数料は39.6万円(税込)ほどになる見込みです。
仲介手数料は、売却時の支出のなかでも負担の大きい項目です。この費用を省ける点は、買取を選ぶうえでの大きな魅力でしょう。
引渡し後の揉め事を避けやすい
3つめの利点は「引渡し後の揉め事を避けやすい」ことです。
仲介を通じて個人の買主へ空き家を売ると、引き渡した後に問題が生じる場合があります。
物件に欠陥(瑕疵)が見つかれば契約不適合責任を追及され、損害賠償や契約の解除を求められる可能性も否定できません。
【契約不適合責任の意味】
空き家は売主でさえ建物の状況を細部まで把握できていないケースが多く、心配に感じる方も少なくないはずです。
対して買取業者は、仕入れた空き家をリノベーションして再販売したり、解体後の土地を再開発したりすることを想定して購入します。そのため個人の買主と比べると、建物の状態を厳しく問わない傾向がみられます。
業者は不動産の実情をよく知っているので、「知識不足からくる理不尽なクレーム」に悩まされるおそれも、通常はほとんどありません。
さらに買取では、契約不適合責任の免除を定めた契約を結ぶのが一般的です。法律上の責任を負わずに済むため、売主としては心強いといえるでしょう。
買取で注意したい弱点
続いて、買取の弱点も確認しておきましょう。主な注意点は2つです。
成約価格が低めになりやすい
1つめの弱点は「成約価格が低めになりやすい」ことです。
買取で相場を上回る査定額が出ることは、まず期待できないと心得ておくのが無難です。
「価格が多少下がっても、手間をかけずに短期間で売りたい」と考える方には、買取は検討に値する方法です。
反対に、「時間をかけてでも、できるだけ高値で売りたい」という方にとっては、買取が最善とはいえません。
こうしたケースでは、一般の買い手に向けて広く募集をかける仲介のほうが合っていることが多いでしょう。
買い取りを断られる場合もある
2つめの弱点は「買い取りを断られる場合もある」ことです。
買取業者が引き受けるのは、基本的に採算が見込める空き家です。
利益につながらないと見なされた物件は、価格が提示されず、買取そのものを断られることもあります。
業者は買い取った空き家を活用し、たとえば次のような方法で収益化を図ります。
- 建物をリフォームしてから再販売する
- 建物を取り壊し、更地の状態で売り出す
- 賃貸用の物件として貸し出す
- 新たに建物を建てる
- 上記以外の活用方法
裏を返せば、買い取った後に収益を上げる見通しが立たない物件については、取引がまとまりません。
買取を考えている場合は、最初に業者へ査定を申し込み、買い取ってもらえる物件かどうかを確認しておくことが大切です。
急ぎの売却で買取が選ばれる理由は「買い手探しが要らない点」
早めに不動産を手放したい場面では、仲介に比べて買取のほうが手続きを円滑に進めやすい方法です。
- 住宅ローンの返済が苦しくなっている
- 相続や離婚、転勤などで期限が迫っている
- できるだけ早く現金に換えたい
買取では、不動産会社が購入者を探すのではなく、会社自身が買主となって物件を引き取るためです。
仲介では買い手探しや内覧対応、条件交渉などに数ヶ月を費やすことも珍しくありませんが、買取の場合は最短で1週間~1ヶ月程度での現金化も期待できます。
なお、買取では価格が相場(市場価格)の7~8割程度に落ち着くのが一般的です。
それでも、時間に余裕がない状況では、金額の高さより売却のスピードを優先したいケースも多いはずです。
早期の売却を望む方にとって、買取は十分に現実的で頼りになる選択肢といえるでしょう。
再建築不可・築古の空き家にも売却の道が残る理由は「相手と手段の工夫次第」
再建築不可の物件や、築年数を重ねて傷みが進んだ空き家であっても、手段を選べば売れる可能性は十分にあります。
こうした物件は、建て替えが認められない、住宅ローンを組みにくいといった事情から、一般には買い手がつきにくいとされています。
とはいえ、隣の土地の所有者に売る、専門の不動産会社に買い取ってもらうといった方法を選べば、売却にこぎつけられるケースがあります。
たとえば隣地の所有者が購入すれば、土地の形が整ったり、接道義務(建築基準法第43条)の条件をクリアできたりすることがあります。
再建築不可物件の買い取りを専門に扱う不動産会社へ相談するのも、売却を円滑に進める手段のひとつです。
条件の厳しい空き家でも、売り先と売り方を工夫して戦略を練れば、手放せる見込みは広がります。
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空き家買取の相場観と売却額を上げるための工夫

業者に空き家を買い取ってもらう場合、受け取れる金額は市場価格の5~8割ほどが一つの目安とされています。
金額を押し下げる要因としては、建ててからの年数の長さ、手入れ不足による傷み、立地面での不利などが代表的です。
売却額を少しでも引き上げたいなら、リフォームやクリーニングに費用をかける価値があるかを見極め、出費と得られる効果のバランスを考えることが大切です。
本章で取り上げるのは、以下の3点です。
- 買取価格が決まる仕組みと市場価格の約7割という平均相場
- 査定で空き家の評価が下がりやすい要素
- リフォーム・クリーニングの要否と費用対効果の考え方
順番に確認していきましょう。
買取価格が決まる仕組みと市場価格の約5〜8割という平均相場
一般的な相場として、空き家の買取額は市場価格のおよそ5〜8割に落ち着くといわれています。
買い取る側の不動産会社が、改修や再販売に要する費用をあらかじめ見込んだうえで金額を決めるためです。
たとえば市場価格3,000万円、築20年の木造住宅であれば、改修費や諸経費が差し引かれ、買取額が約1,500万円になるケースもあります。
物件の傷み具合や立地によって、買取額の振れ幅はかなり大きくなります。
実際の金額を見極めるには、複数の不動産会社から査定を取り寄せ、内容を比べてみることが大切です。
査定で空き家の評価が下がりやすい要素
査定の場面で評価が下がりやすいのは、主に以下のような点です。
- 立地面での不利
- 建物の傷み・経年劣化
- 再建築ができない物件
- 手入れが行き届いていない状態
- 境界・権利関係がはっきりしない状態
なお、雨漏りやシロアリによる被害も建物の傷みに含まれ、直すための費用を見込んで査定額が引き下げられる場合があります。
上記の要素を事前に把握し、できる範囲で手を打っておけば、査定額のアップにつながる可能性があります。
リフォーム・クリーニングの要否と費用対効果の考え方
売却額を上げる目的でリフォームやクリーニングを行うかどうかは、物件のコンディションや買い手側のニーズ次第で変わります。
築浅で小さな補修だけで済む物件なら、手を入れることで査定額がアップすることも考えられます。
一方、築古で大がかりな修繕を要する物件では、改修にかかる金額が膨らみやすく、投じた費用に見合う効果が得られるかを慎重に見極める必要があります。
さらに、ハウスクリーニングや庭木の手入れのように少ない出費で済む対策でも、見た目の印象が良くなり、査定額アップにつながる場合があります。
まとまった出費にはなりますが、水回りに手を入れるのも有効な選択肢です。
下記の資料からは、中古住宅を買う人にとって水回りの状態や見た目のきれいさが大事な判断材料になっていることがうかがえます。

自分の物件に合った判断を下すには、不動産会社に相談し、個別の状況に即したアドバイスをもらうのがおすすめです。
空き家を買取で手放すまでの進め方|現金化に至る6ステップ

空き家を買取業者へ売る手順は、おおまかに6つの段階で整理できます。
ここからは、各段階を順番に解説します。
ステップ① 無料で受けられる買取査定の依頼
最初に行う1つめの手順が「買取査定への申し込み」となります。
依頼先は買取を手がける事業者(不動産会社)ですが、気をつけたいのは、売れそうな価格を見積もってもらう一般的な不動産査定と、買取査定とは別物だという点です。
- 一般的な不動産査定:市場でどれくらいの価格がつきそうか、見込み額を算出してもらう
⇒ 依頼先は売買を仲介する不動産会社(買い手は売り出し後に探す) - 買取査定:買い取るとしたらいくら出せるか、買取価格を算出してもらう
⇒ 依頼先は自ら買い取りを行う不動産会社(その会社が買い手となる)
一般的な不動産査定で示されるのは、「このくらいの価格なら売れる見込みが高い」という予想の金額です。
成約に至る価格は、物件を市場に出して買い手候補が見つかったのち、その相手との話し合いを経て確定します。
参考:不動産査定とは?手順と適正額の判断基準・不利にならないためのコツ
これに対して買取査定では、「この価格であれば買い取ります」という具体的な金額を業者から示してもらいます。そのため、不動産買取を手がける不動産会社へ査定を頼むことが前提となります。
買取に対応する業者を探せずに困っている場合は、次のようなサービスを活用する方法もあります。
【プロ買取一括紹介】

複数のプロ買取業者へまとめて紹介してもらえる仕組みのため、早い段階で売却先が見つかる可能性が上がります。
ステップ② 物件の現地確認と査定で見られる点
続く2つめの手順は「現地での調査」です。
買取価格を算出するには、物件を実際に確認する現地調査が欠かせません。不動産会社と相談して、訪問日を決めておきましょう。
調査そのものは不動産会社が担当するため、売主側で行うのは、調査日の立ち会いと必要な資料の事前準備です。
【査定を依頼する際に用意するもの】
登記記録(登記簿)・地図のほか、詳しい資料(購入した際の重要事項説明書や建築関係の書類など)
・詳しく査定してもらうときは、物件を特定するための資料だけでなく、ほかの詳細な資料を求められることもある。
・不動産会社が自ら調べることもできるが、資料を前もって渡しておけば査定がスムーズに進む。詳細査定を受ける際は、どの資料が要るかを不動産会社に尋ねたうえで、なるべく多くの資料・情報を渡すとよい。
出典:不動産ジャパン
具体的に何をそろえるかは、依頼先の不動産会社から案内があるので、それに沿って用意してください。
ステップ③ 買取価格の提示と価格交渉
3つめの手順として、「買取査定額の提示」を受けます。
不動産会社は現地調査の内容を踏まえて、買取査定額を示します。金額は建物の状態や立地、周辺エリアの相場といった要素で変わってきます。
示された金額が適正かどうかを見極めるうえで、あらかじめ相場を把握しておくと判断材料になります。
調べておいた相場とも比べたうえで、示された買取査定額で手放すかどうかを判断しましょう。
金額を上げてもらえる余地がありそうなら、交渉を申し出てみるのも選択肢のひとつです。
大きな上乗せは応じてもらいにくい傾向がありますが、わずかな額であれば受け入れられることもあります。
ステップ④ 売買契約の締結・書類の準備と留意点
4つめの手順は「売買契約の締結」です。
提示された買取査定額に納得がいけば、売買契約を結ぶ段階に進みます。
契約書には売買価格・支払条件・引渡しの時期などが盛り込まれています。内容に目を通して不明点を解消してから、署名と捺印を行いましょう。
一般的な売買契約で確認しておきたい項目を、次のリストにまとめました。
【売買契約で確認したい項目】
●契約の全体像
□ 希望していた条件が盛り込まれているか
□ 負担が大きすぎる条件が含まれていないか
□ あいまいな条件が残っていないか
□ 消費者契約にあたるか(あたる場合、消費者に不利な条項は無効)
●物件の表示
□ 物件の表示内容に間違いがないか
●売買代金・手付金などの金額と支払日
□ 売買代金や手付金などの金額が正しいか
□ 買主が支払う日はいつになっているか
□ 手付金の性質はどれにあたるか(解約・証約・違約)
□ 手付金などの額が極端に高い・低いということはないか
●土地の実測と代金の精算
□ 土地を実測するかどうか
□ 面積が増減したときに代金を精算するか、精算する場合の単価に誤りはないか
●所有権移転・引渡し
□ 所有権を移す時期や引渡しの時期に無理がないか(予定どおり引き渡せるか)
●負担の消除
□ 抵当権や賃借権などを整理し、完全な所有権の状態で引き渡せるか
□ 引き継ぐ権利(賃借権など)がある場合、その内容がはっきりしているか
●危険負担
□ 契約後から引渡しまでの間に、天災などで物件が滅失・毀損したときの扱いが定められているか
●手付解除
□ 手付解除ができるか、できる場合の期限はいつか
□ 手付金が相場からかけ離れた金額になっていないか
●契約違反を理由とする解除
□ 違約金や損害賠償額の予定が妥当な水準か
●契約不適合責任
□ 契約不適合責任を負う期間に問題はないか
●付帯設備などの引き継ぎ
□ 引き継ぐ付帯設備などがはっきりしているか
●公租公課などの精算
□ 精算の対象がはっきりしているか
□ 精算のやり方と金額を理解しているか
●ローン特約
□ 買主が住宅ローンを使う予定で特約が付いている場合、借入額などの内容が買主の信用力からみて無理のないものか(無理があると解除となるおそれが高くなる)
●そのほか
□ ほかに定めておきたい事項が残っていないか
出典:不動産流通推進センター
空き家を買取で売る際にとりわけ注意したいのが、「契約不適合責任」の扱いです。
前述の「2-3.」で説明したように、売却後のもめごとを避けるためにも、「契約不適合責任の免責」を定めた特約が盛り込まれているかを確かめておきましょう。
特約の書き方の一例を紹介します。
【文例】
(契約不適合責任の免責)
第○条 本物件の種類や品質が本契約の内容に合致しない場合(以下「契約不適合」という。)でも、売主は買主に対して契約不適合責任をいっさい負わない。
2 買主は、本物件で雨漏りが生じていることを了承したうえで、現状有姿のまま売主から引渡しを受ける。
3 買主は、前項の内容に加え、末尾に記した「容認事項」を確かめたうえで本物件を購入する。
出典:黒沢 泰, 『すぐに使える 不動産契約書式例60選』, 出版社, 2017年, 追録 p.6
ステップ⑤ 代金受領から物件引渡しまでの段取り
「決済・引渡し」が、5つめのステップにあたります。
買取業者から売却代金の支払いを受け、代金と交換する形で空き家を明け渡す(所有権を買主へ移す)手続きを指します。
この段階で大切になるのは、所有権移転登記で使う書類を中心に、当日までの用意を抜かりなく整えておくことです。
【決済・引渡し時に用意する主な書類】
●登記に関する書類など
・所有権移転登記で使う書類など(書面で登記を申請するケース)
登記識別情報(または権利証)、印鑑証明書(登記申請日時点において発行から3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士宛ての委任状など
・抵当権抹消登記を行うための書類など
※登記にかかわる書類は、司法書士などの専門家へ前もって問い合わせておくと安心です。オンラインで登記を申請するときは、用意するものが変わります。
●実印(登記書類への押印用)
●登記にかかる費用
●実測図・境界確認書(求められたときのみ)
●残代金・各種精算金などの領収書(振込で受け取るときは、振込控えを代わりにすることもある)
●建物の建築に関する書類や鍵など、買主に渡すもの一式
●仲介手数料(媒介契約書に定めた支払条件どおりに用意し、不動産会社から領収書をもらう)
出典:不動産ジャパン
売主の準備不足が原因で、売買契約書に定めた引渡し日に間に合わなければ、契約不履行とみなされるおそれがあります。
用意する書類の詳しい内容は買取業者が案内してくれるので、指示に沿って漏れなくそろえていきましょう。
ステップ⑥ 売却後の確定申告と使える税の特例
「確定申告」が、最後の6つめのステップです。
「決済・引渡し」(ステップ5)が済んだ段階で、空き家の売買取引そのものは終わります。
ただし、売却の状況によっては、取引とは切り離して確定申告の手続きが求められます。
申告を要する場面と申告期間の目安
以下の2つのいずれかに当てはまる場合は、確定申告を行います。
- 売却で譲渡益(譲渡所得金額)が生じ、税金を納める必要がある
- 譲渡益はないものの、特例・控除を利用したい
譲渡所得金額の求め方は次のとおりです。
【譲渡所得金額の求め方】

(注1)譲渡価額は、土地・建物を売って得た代金などを指します。
(注2)取得費は、売却した土地・建物を手に入れた際の購入代金や購入手数料といった取得のための支出に、購入後にかけた改良費・設備費などを足した金額を指します。
建物部分については、所有していた期間の減価償却費相当額を控除したうえで取得費を算出します。さらに、取得費が不明なときや、実際の取得費が譲渡価額に対して5パーセントに満たないときには、譲渡価額に5パーセントを乗じた額を概算取得費として取得費に充てることも認められています。
(注3)譲渡費用は、土地・建物の売却のためにかかった費用のことで、仲介手数料や測量費、売買契約書に貼る印紙代、売却に際して借家人などへ支払った立退料、建物を解体して土地を売る場合の取壊し費用などが該当します。
譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税)の税率は、次の表のとおりです。
【譲渡所得にかかる税率】
| 種類 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
注1:マイホームの売却では、税率が軽くなる特例も設けられています。
注2:確定申告では所得税とあわせて、基準所得税額(税額控除などを差し引いた後の所得税額)に2.1%を乗じた復興特別所得税も申告し、納めます。
税率は「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」のどちらに当たるかで異なるため、気をつけましょう。
| 長期譲渡所得 | 売却した年の1月1日現在における土地・建物の所有期間が5年を超えるケース |
| 短期譲渡所得 | 売却した年の1月1日現在における土地・建物の所有期間が5年以下のケース |
譲渡益がプラス(黒字)となったときは、確定申告を行い、表の税率で計算した譲渡所得税を納めます。
特別控除を使って税額を抑えたいときや、譲渡益が出ていなくても利用したい特例・控除があるときにも、確定申告の手続きが求められます。
申告の時期は、売却した年の翌年2月16日〜3月15日が目安です。

例として、2025年の1月1日〜2025年12月31日の間に空き家を売った場合、申告期間は2026年の2月16日〜3月15日となります。
申告漏れを防ぐためにも、早めに書類をそろえておきましょう。
空き家売却で使える3,000万円特別控除
空き家の売却で利用を検討したい制度に、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」があります。

所定の要件を満たして適用されると、譲渡益のうち3,000万円までが非課税になります。
適用要件をはじめとした詳しい内容は、「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)」で確認できます。
空き家買取業者を選ぶコツと比較で注目したい点

空き家を手放すときは、どの買取業者に任せるかによって結果が大きく変わりやすくなります。
業者のタイプごとの違いを知り、もめごとにつながりやすい点を押さえておけば、取引を円滑に進めやすくなります。
ここでは、空き家買取業者を選ぶ際の考え方と、比べるときに見ておきたいポイントを順に説明します。
- 空き家買取業者のタイプ|全国対応型・地域密着型・自治体連携型
- 業者の信頼性を見抜くチェックポイント
- 空き家買取で起こりがちな業者とのトラブル例
- 代表的な買取業者の比較|カチタス・アルバリンク・空き家買取センターなど
順番に確認していきます。
空き家買取業者のタイプ|全国対応型・地域密着型・自治体連携型
空き家をスムーズに手放すには、まず業者にどのようなタイプがあるかを知り、ご自身の事情に合う相手を見つけることが大切です。
買取業者は大きく分けると、全国対応型・地域密着型・自治体連携型の3種類です。
タイプごとに強みが異なるため、物件の所在地や状態、売却で何を優先したいかによって、向いている業者も変わってきます。
| 業者の分類 | 主な特色 | 代表例 |
|---|---|---|
| 全国対応型 | 迅速に動いてもらいやすい。共有持分や再建築不可といった訳あり物件も扱う。 | アルバリンク など |
| 地域密着型 | その土地の相場をよく知っている。エリアに見合った価格で手放せる可能性がある。 | 地元不動産会社 |
| 自治体連携型 | 空き家に関する相談先としても使える。公的な支援を受けられる安心感がある。 | アキカツカウンター など |
タイプによる違いを踏まえたうえで依頼先を決めれば、空き家の売却を無理なく進めやすくなります。
業者の信頼性を見抜くチェックポイント
空き家を納得のいく形で売るには、相手となる業者が信用に足るかどうかを見抜く目が欠かせません。
悪質な業者を選んでしまうと、相場に見合わない価格で手放すことになったり、契約を結んだあとに問題が起きたりするおそれがあります。
依頼する前の段階で、業者が信頼できる相手かを確かめておくことが大切です。
チェックしたいポイントは、次の3つです。
◆査定は複数の会社に依頼する
いくつかの業者に査定してもらい、提示額や担当者の対応を見比べることで、価格が妥当か、信頼できる相手かを判断しやすくなります。
◆これまでの実績と利用者の評判を調べる
過去の取引実績や、実際に利用した方の口コミに目を通すと、業者がどの程度信頼できるかをつかみやすくなります。
◆契約書の中身を細かくチェックする
契約を結ぶ前に、条件や手数料、引き渡しの取り決めなどを一つずつ確かめ、わからないところは遠慮なく尋ねておくと安心です。
複数社の比較に加えて、実績や契約の中身まで確かめておくことが、信頼できる業者を選ぶうえでの土台になります。
空き家買取で起こりがちな業者とのトラブル例
空き家を売る場面では、業者との間でもめごとが起きるケースが思いのほか多く、油断すると不利益を被ることもあります。
不動産の取引は金額が大きく契約も込み入っているので、小さな見落としや思い違いが深刻な問題に発展しかねません。
よくあるのが、契約書を十分に読まないまま署名し、あとになって想定外の条件に気づいて戸惑うというケースです。
(出典:国民生活センター25p)
こうした事例は、契約書の表現があいまいで、売主と業者とで解釈が食い違うことから生じます。
また、他社に査定をさせないよう情報を抱え込み、相場より低い価格での売却へ誘導しようとする「囲い込み」を行う業者もいます。
トラブルを避けるには、契約の中身を細部まで確かめ、疑問があればためらわずに質問すること、加えて複数の業者に査定を依頼して比べることが大切です。
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代表的な買取業者の比較|カチタス・アルバリンク・空き家買取センターなど
空き家を思うように売るには、代表的な買取業者それぞれの持ち味を知り、ご自身の状況に見合う会社を選ぶことがポイントになります。
対応している地域や得意な物件のタイプ、提供するサービスは業者ごとに違うので、物件の条件や希望に合った依頼先を選べば、取引を進めやすくなります。
| 会社名(対応地域) | 得意分野 | 主な特色 |
|---|---|---|
| カチタス (全国) | 築年数の古い物件 | 再販実績は年間5,500戸以上。 リフォームしてからの再販を得意とする。 |
| アルバリンク (全国) | 訳ありの物件 (共有持分・再建築不可など) | 対応が早く買取条件も柔軟。 訳あり物件に特化し全国をカバー。 |
| 空き家買取センター (全国) | 幅広い種類の空き家 | 地域に根ざしたきめ細かな対応。 都市部を得意とし、気軽に相談できる体制。 |
各社の強みを把握したうえで、物件の状況やご自身の希望と照らし合わせて依頼先を決めれば、空き家を円滑に手放しやすくなります。
空き家を買取で手放す際の留意点とうまく進めるための秘訣

締めくくりとして、空き家を買取に出す際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
各項目について、順を追って説明していきます。
売る前の清掃・改修への出費は控えめに
1つめに意識したいのは「清掃や改修に事前のお金をかけないこと」です。
個人の買い手を探す売り出し方の場合、内覧時の見た目が成約の可否や価格を左右しやすいため、清掃や改修、老朽化した建物の取り壊しなどを勧められることがあります。
一方で、買取を専門とする業者は物件の価値を見極めるノウハウを備えているため、見た目の印象だけで評価が大きく変わるケースはほとんどないと考えられます。
例として、古びて汚れが目立っていても、骨組みが丈夫で手を入れれば大きく生まれ変わる空き家であれば、業者にとっては魅力的な仕入れ対象になり得ます。
業者は買い取った物件を解体して土地として売ったり、リノベーションを施して再販したりするのが一般的なので、売主が前もって手入れをしても、その出費が報われない可能性が高いでしょう。
手元の資金を減らさないためにも、追加の出費は控えるのが望ましいと考えられます。
売却時期を先送りしない判断
2つめに意識したいのは「手放すタイミングを引き延ばさないこと」です。
デメリットとして取り上げた「買取価格が低めになりがちな点」の項目のように、買取の査定額は市場の相場を下回る可能性があります。
とはいえ、価格に納得できないまま決断を先延ばしにすると、月日だけが経過し、空き家の維持にかかる出費が膨らむおそれがあります。
買い取ってもらえる機会に恵まれたら、「早めに手放すことで得られるメリット」も踏まえたうえで、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
不誠実な買取業者への警戒
3つめに意識したいのは「信頼できない業者を見極めること」です。
誠実な事業者との取引であれば、売却のスピードを重んじる考え方が有効ですが、相場から大きく外れた低い価格を示すような悪質な相手には、十分な警戒が欠かせません。
契約を結ぶ前に、相手の会社名をネットで検索し、世間での評判をチェックしておきましょう。
あわせて、これまでに行政から指導を受けた経歴がないかも確かめておくと安心です。
空き家買取のよくある質問
空き家を買い取ってもらう際に、多くの方が抱きやすい疑問や心配ごとを取り上げて解説します。
売却に限らず、活用も含めて今後を考える際の判断材料としてお役立てください。
空き家バンク・自治体支援を使うかどうかの判断
【答え】空き家バンクや自治体の支援制度は、前向きに検討したい選択肢のひとつです。
民間の取引だけでは購入希望者が現れにくい物件であっても、行政のサポートを受けると売れる機会が広がりやすいためです。
【空き家バンク】
地域の活性化に空き家を役立てる狙いから多数の自治体が運営しており、移住を考えている人へ物件を紹介する仕組みになっています。
改修費の補助金や仲介のサポートが組み合わされている場合もあり、民間での売買と比べて、リスクや費用の負担を抑えた形で話を進められる場合も見られます。
「空き家バンク 地域」といった語で検索すると見つかります。
【空き家対策特設サイト】
各自治体の支援制度や活用の実例がまとめられているため、お住まいの地域で利用できる制度を調べる際に便利です。
所有する空き家が制度の対象となるかについては、前もって地元の自治体へ問い合わせておくと安心です。
売却や管理にかかる負担を少しでも軽くしたい場合は、公的な制度の活用を検討する価値は大きいといえます。
事故物件・訳あり空き家の売却可否
【答え】事故物件や訳ありの物件であっても、専門に扱う買取業者に依頼すれば手放せる可能性があります。
専門業者の多くは特殊清掃やリフォームを自社でこなす体制を整えているため、現状のままで物件を引き取れます。
筆者自身も使ったことのある、以下のサイトがおすすめです。
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リフォームを自社で手がけることで、高めの価格での買取につなげています。
このように、訳あり物件や事故物件であっても、専門の買取業者に頼むことで売却を円滑に進めやすくなります。
地方・過疎地にある空き家の買取事情
【答え】地方や過疎地にある空き家についても、買い取りに応じる業者は見つかります。
地域に根ざした不動産会社のほか、全国を対象とする買取業者も、地方の空き家の買い取りに力を入れています。
一例として、静岡県を拠点とする「空き家買取専科」では、静岡市、藤枝市、焼津市、掛川市、浜松市、富士市といったエリアの空き家を買い取っています。
訳あり不動産相談所は、全国どのエリアでも空き家の買取に対応しています。
こうした業者を探してみることで、地方や過疎地の空き家であっても売却の道が開ける可能性があります。
賃貸で活かすほうが有利になるケース
【答え】賃貸と売却のどちらが有利になるかは、建物のコンディションや立地、所有者が何を重視するかによって変わります。
買取と賃貸を項目ごとに比べると、次の表のようになります。
| 項目 | 買取 | 賃貸 |
|---|---|---|
| 収入の得方 | まとまった額を一度に現金で受け取れる | 家賃が毎月入ってくる |
| 抱えるリスク | 手放した後のリスクは抱えにくい | 空室や家賃の滞納、修繕をめぐるトラブルが起こりうる |
| 維持・管理 | 所有しなくなるので維持の必要がない | 管理の手間があり、委託すれば費用もかかる |
| かかる手間 | 手続きは1回で済む | 管理や入居者への対応が続く |
| 適した人 | 現金化を急ぎたい人・管理が負担な人 | 長い目で安定した収入を求める人 |
賃貸として貸し出せば継続的な収入が見込める反面、空室の可能性や管理の手間を抱えることになります。
売却を選ぶと、まとまったお金を一度で受け取れ、維持や管理の負担がなくなります。
国交省の統計では、空き家の約60%が腐朽や破損のある物件とされ、駅からの距離といった立地面の制約も多いことから、賃貸に出しても借り手が見つかりにくい状況がうかがえます。

加えて、空き家の中で『賃貸・売却用を除くその他空き家』が多くを占める点を踏まえると、老朽化した物件は貸すよりも売る方向に傾きやすいと考えられます。
空き家をどう活かすかは、建物の状態・立地・所有者の目的を踏まえ、賃貸と売却それぞれの長所と短所を比べたうえで判断することが大切です。
まとめ
ここまで、空き家を業者に直接買い取ってもらう方法を取り上げてきました。最後に、押さえておきたい点を振り返ります。
業者へ空き家を売却する利点を、あらためて確認しておきます。
- 短い期間で現金化しやすい
- 仲介手数料を払う必要がない
- 引渡し後にもめごとが生じにくい
一方で、次のような弱点もあるため注意が必要です。
- 仲介に比べて売値が下がる傾向がある
- 物件によっては買取を断られることもある
売却が完了するまでの手順は、6つのステップに分けて説明しています。
- ステップ① 査定(無料)を依頼する手順
- ステップ② 訪問調査で評価される着眼点
- ステップ③ 提示された買取額の確認と価格交渉
- ステップ④ 契約締結時にそろえる書類と気をつけたい点
- ステップ⑤ 代金決済・引渡しに向けた日程
- ステップ⑥ 税制上の優遇措置と確定申告
買取で不利な条件にならないよう、次の点を意識しておくと安心です。
- 清掃や改修にお金をかけすぎない
- 売却のスピードを重視して進める
- 不誠実な買取業者を見極める
手放し方が見つからず扱いに悩んでいる空き家をお持ちなら、以下のサービスも検討してみてください。
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