家の売却手段には「仲介」・「買取」・「個人間売買」の3種類があり、2025年の首都圏で売り出しから契約成立までに要した期間は、中古マンションでは82.5日、中古戸建住宅では100.9日となっています。
各手段の違いを把握したうえで、ご自身の事情に適した売り方を見きわめることが大切です。
以下では、家を手放す際に押さえておきたい基本から、必要となる費用や税金、気をつけたいポイントまでを順を追ってご紹介します。

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家の売却前に押さえたい基礎知識

家の売却を始める前に、基本となる情報を把握して準備を整え、そのうえで不動産会社へ相談するのが望ましいといえます。
【家の売却前に押さえたい基礎知識】
① 売却方法は主に2種類(仲介・買取)
② 売却時の相場
③ 売り出しに適した時期
④ どこに頼む?不動産会社を選ぶコツ
⑤ 売却で用意する書類の一覧
あらかじめ必要な知識を身につけておけば、売却を円滑に進めやすくなります。
加えて、知識が不足したまま手続きを進めると、不動産会社の提案をうのみにしてしまったり、相場を下回る価格で手放したりするおそれもあります。
ここからは、各項目を1つずつ見ていきましょう。
住まいの売却方法は主に2種類|仲介・買取
住まいを売却する手段は、主に次の2つに分けられます。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| メリット | 相場に近い価格で売却しやすい 専門的な知識がなくても進められる 価格交渉まで支援を受けられる | 短期間で手放せる 売れ残る心配が少ない 手続きの流れがシンプル リフォーム・修繕をせずに済むケースが多い |
| デメリット | 売却完了までに期間を要しやすい 仲介手数料の支払いが必要 | 売却価格が相場を下回る 対応する業者が少なく比べにくい 買取価格の根拠が見えにくい |
売却方法1.「仲介」
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 相場に近い価格で売却しやすい 専門的な知識がなくても進められる 価格交渉まで支援を受けられる | 売却完了までに期間を要しやすい 仲介手数料の支払いが必要 |
売却方法の1つ目は「仲介」です。
仲介は、売主が不動産会社へ依頼して、購入希望者を見つけてもらう売り方です。
売却に精通した専門家がサポートするので、売主に専門知識がなくても、相場に沿った価格で売り出しやすい点が特長です。
ただし仲介は、買主が決まるまでに時間を要しやすいことも覚えておきましょう。
売却方法2.「買取」
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 短期間で手放せる 売れ残る心配が少ない 手続きの流れがシンプル リフォーム・修繕をせずに済むケースが多い | 売却価格が相場を下回る 対応する業者が少なく比べにくい 買取価格の根拠が見えにくい |
売却方法の2つ目は「買取」です。
買取は不動産会社自体が買い手となる仕組みのため、仲介と比較して短期間で契約がまとまります。
反面、売却価格の相場は仲介より低めになるので、希望額どおりに売れるケースは多くありません。
「時間がかかっても高値での売却を目指すなら仲介」「早めに現金を手にしたいなら買取」のように、ご自身の事情に合わせて選ぶのがよいでしょう。
売却時の相場|築年数で大きく変動
売却価格の相場は、建物の築年数によって大きな差が生じます。
築年数ごとの相場の目安を、以下の表にまとめました。
【一戸建ての売却相場(築年数別)】
| 築年数 | 下落率 | 購入時の価格 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 築5年以内 | 0.0% | 2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 |
| 築5~10年未満 | 3.7% | 1926万円 | 2889万円 | 3852万円 | 4815万円 |
| 築10~15年未満 | 7.6% | 1848万円 | 2772万円 | 3696万円 | 4620万円 |
| 築15~20年未満 | 9.7% | 1806万円 | 2709万円 | 3612万円 | 4515万円 |
| 築20~25年未満 | 19.9% | 1602万円 | 2403万円 | 3204万円 | 4005万円 |
| 築25~30年未満 | 25.1% | 1498万円 | 2247万円 | 2996万円 | 3745万円 |
| 築30年~ | 45.5% | 1090万円 | 1635万円 | 2180万円 | 2725万円 |
【マンションの売却相場(築年数別)】
| 築年数 | 下落率 | 購入時の価格 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 築5年以内 | 0.0% | 2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 |
| 築5~10年未満 | 15.2% | 1696万円 | 2544万円 | 3392万円 | 4240万円 |
| 築10~15年未満 | 17.3% | 1654万円 | 2481万円 | 3308万円 | 4135万円 |
| 築15~20年未満 | 28.0% | 1440万円 | 2160万円 | 2880万円 | 3600万円 |
| 築20~25年未満 | 32.4% | 1352万円 | 2028万円 | 2704万円 | 3380万円 |
| 築25~30年未満 | 47.3% | 1054万円 | 1581万円 | 2108万円 | 2635万円 |
| 築30年~ | 70.4% | 592万円 | 888万円 | 1184万円 | 1480万円 |
※レインズが公表している「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2026年1~3月】」のデータから算出しています。
※下落率は築5年以内(0%)を起点にした数値です。相場の動きによっては、築年数の浅い区分どうしで価格の大小が入れ替わることもあります。
住宅の売却相場に大きく影響するのは、先ほど触れた「築年数」と「エリア」です。
国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」の資料では、建物部分の価値は築20年でおおむねゼロになるとされています。
したがって、築20年を超えた家では「エリア」ごとの相場がより重視されやすくなります。
当サイトでは、築年数ごと・エリアごとの売却相場も紹介しています。相場が気になる方は、あわせてチェックしてみてください。
ご自宅の相場を具体的に知りたい方は、売却価格の相場を確認する手順をご覧ください。
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家を売る時期|築浅のうちほど高値がつきやすい傾向
一般的に、建ってからの年数が浅い家ほど、売り出したときに高い価格がつきやすいとされています。
売り時を考える際に重視される要素としては、主に次のものが挙げられます。
- 建物の築年数
- 資産価値の残りやすさ(リセールバリュー)
- 周辺での大規模な開発計画
- 売却時にかかる税金
あわせて、実際に取引がまとまった件数の動きも確認しておきましょう。
次の図は、首都圏における中古マンションと戸建ての成約件数を、時期ごとに示したものです。


グラフからは、取引がまとまりにくい月と、反対に件数が伸びる月があることが読み取れます。
◆成約件数が落ち込む時期(12〜1月・8月) 住まい探しをする人の動きが 落ち着きやすい時期 とされるため、急いで手放す必要がなければ、売り出す時期をずらすことも検討するとよいでしょう。 ◆成約件数が伸びる時期(2〜3月) 売却を円滑に進めたい場合は、この時期に合わせて販売活動に力を入れるのが効果的とされています。 買い手が積極的に物件を探している時期に売り出すと、より高い価格で成約できる可能性があります。
要するに、2〜3月(成約件数が伸びる時期)は家を求める人が多くなり、売却が順調に運びやすい時期だと考えられます。
春先は転勤や進学などに伴って住まいを探す人が増え、市場に動きが出やすくなります。加えて、金利の動向や税制の改正といった外部要因にも目を配りながら、売り出す時期を検討することが大切です。
できれば需要が高まる時期より少し早めに準備を進めておくと、希望に近い価格で成約できる見込みが高まるでしょう。
売り時の考え方については売却のタイミングを左右する4つの要素でより詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
家を売る依頼先の選び方|「集客力」と「販売戦略」で見極める不動産会社
「家を手放したいものの、どこの不動産会社に相談すればよいのか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
不動産会社は大きく「大手」と「地域密着型」に分かれ、得意とする領域や売却の成功率にも違いがあります。したがって、自分に合った会社に依頼できるかどうかが、高値かつ短期間での売却を左右する大切な要素といえます。
大手と地域密着型とで成功率に差が出る理由を、両者の特徴から見ていきましょう。
- 全国規模の広告展開と幅広いネットワークにより、多くの購入希望者と出会いやすい
- 知名度が高く、提示される売却価格に安心感がある
- 提携する住宅ローンや金融機関との手続きが円滑
※地域によっては、成約までに日数を要する場合があります。
- 地域の相場事情に詳しく、エリアの実情に合った価格で売り出しやすい
- そのエリアならではの購入ニーズをつかんでいる
- 動きが素早く、状況に応じた臨機応変な対応が期待できる
※全国向けの広告が限られるため、購入希望者が現れるまで長引く場合もあります。
言い換えると、成功率の差は「集客力」と「販売戦略」の違いから生まれるものと考えられます。
大手は全国に広がる広告網とネットワークを生かして多くの購入希望者に情報を届けられるため、とりわけ都市部や人気の高い地域では早めの成約が見込めます。
対して地域密着型の会社は、地元の市況に通じており、その土地ならではの購入ニーズを踏まえた販売戦略を立てられます。エリアの相場に見合った価格で売り出しやすいことから、地方の物件や需要が限られる物件で力を発揮しやすいでしょう。
以上のことから、物件の特徴や売却の目的に合わせて依頼先を選ぶことが、成功の可能性を高めるポイントになります。
たとえば「戸建ての売却を得意とする会社」や「物件の所在地に詳しい会社」など、ご自身の物件と相性のよい依頼先を見極めることが大切です。
そうした会社探しに役立つのが「不動産一括査定サイトおすすめランキング」です。
※不動産一括査定サイトは、複数の不動産会社へまとめて査定を申し込めるサービスを指します。
戸建ての売却を得意とする会社を探すなら、イエウールの活用を検討するとよいでしょう。
戸建て売却に強い会社探しに、なぜイエウールが向いているのか?
→年間20万という売却成立のサポート件数を誇り、ほかと比べて際立って多いためです(2026年9月時点)。
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※2 2016年10月のサービス開始から2026年3月末時点までの累計
イエウールが2014年にサービスを始めていることを踏まえると、大まかに見積もっても他サイトを上回る件数であることがうかがえます。
成立件数の多さから、戸建ての売却においても頼りになるサービスだと考えられます。
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家の売却で用意する書類一覧|固定資産税納税通知書・登記識別情報・土地測量図など
家の売却では、売り出しの前や契約を結ぶタイミングなど、場面ごとに求められる書類があります。早めにそろえておくと安心です。
手続きの最中に書類が足りないとわかると、販売活動が止まったり、契約が予定どおりに進まなくなったりするおそれがあります。
主な書類を以下にまとめました。
・登記識別情報または登記済権利証
・固定資産税納税通知書・課税明細書
・土地測量図・境界確認書(敷地の広さや隣地との境目をはっきりさせるもの)
・建築確認済証・検査済証(建物が建築基準法の基準を満たしているかを示す書類)
・耐震診断報告書(お持ちの場合)(建物の耐震性を示すもの)
・売買契約書ほか関連書類 等
売ると決めた段階で必要な書類を洗い出し、前もって手配しておくと、取引を滞りなく進めやすくなります。
各書類の入手先は、のちほど「家を売るときの具体的な手順(決済・引渡し)」で詳しく取り上げています。あわせてご確認ください。
家を売却するまでの具体的な流れ

記事のはじめにご紹介したように、家の売却は大きく分けて以下の8ステップで進みます。
ここからは各ステップの進め方を、気をつけたい点とあわせて順に見ていきます。
① 現状の確認【売却に向けて準備を整える】
売却に向けたステップ1として取り組みたいのが「現状の確認」です。
納得できる価格で滞りなく手放すには、自分の希望を整理し、相場をつかみ、建物の状態を確かめておくことが欠かせません。
前もって準備しておけば、売却でのつまずきを減らし、よい時期を見計らって手続きを進めやすくなります。
【押さえておきたい点】
- 「いくらで・いつまでに売りたいか」を明確にする
- 周辺の似た物件の価格水準を調べる
- 手放す家のコンディションを前もって確かめる
売却の希望と相場の確認
最初に、売り出す時期と金額について、自分なりの目標を書き出してみましょう。
家を売る理由は、ローンを完済したい、住み替えの資金を用意したい、相続した家を手放したいなど、家庭ごとにさまざまです。目的をはっきりさせておくと、のちの判断がぶれにくくなります。
加えて、思い描いている価格が実際の相場とかけ離れていると、買主がなかなか見つからず、最終的に価格を下げることになる場合もあります。
条件の近い物件がいくらで取引されているか、次のようなサイトで調べておくと安心です。
【相場の調査に使えるサイト】
- 不動産情報ライブラリ:国土交通省が運営しており、実際の取引価格のほか、地価公示や都道府県地価調査で示された価格を調べられます。
- レインズマーケットインフォメーション:不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組みを通じて実際に成約した取引について、成約価格などのデータを検索できます。
- 不動産ジャパン「相場・取引動向」:価格動向を調べる際に参考になる各種データが、一覧の形でまとめられています。
物件の状態確認
相場を調べるのと同時に、権利関係や敷地の状況など、家そのものの確認も進めておきましょう。
東京都住宅政策本部の「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」では、売り出す前に権利関係や建物の物理的な状態を確かめておくことが、引渡し後のトラブル予防につながると説明されています。
買主にとって、建物のコンディションは購入を決める大きな判断材料です。とりわけ雨漏り・シロアリの被害・給水や配管のトラブルが見つかると、価格を引き下げられる原因になりかねません。
さらに、隣地との境界や建築に関する制限といった法令上の事項も、確認を怠ると契約を結んだあとで揉めるおそれがあります。
【確認しておきたい項目】
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1. 土地・建物の権利、これまでの履歴、住環境 | 権利の状況や取引に必要となる書類、土地・建物がたどってきた経緯、周りの生活環境などを確かめる |
| 2. 敷地について | 境界線や塀の所有者、地中の埋設物や配管、道路への接し方など法令上の制限を確かめる |
| 3. 建物について | 雨漏りやシロアリによる被害、木材部分の腐れ、給水管・配水管の水漏れや赤水の有無などを確かめる |
| 4. 設備・工作物について | 引き渡す予定の設備や工作物の範囲と、それぞれの状態を確かめる |
確認作業には、「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」に収録された「物件チェックリスト」が役立ちます。
【参考:物件チェックリスト】

② 査定の依頼【自宅の価値をつかむ】
続くステップ2で行うのが「査定の依頼」です。
査定を受けるといくらくらいで売れそうかの見当がつき、無理のない売り出し価格を決めやすくなります。
あわせて、査定時の受け答えから各社の対応ぶりや仕事への向き合い方を見て、任せられる会社かどうかを見極める手がかりにしたいところです。
【押さえておきたい点】
- いくつかの不動産会社から査定を受け、金額を見比べる
- 感触のよかった会社に絞り込み、より詳しい査定をお願いする
- 査定時の対応から、任せて安心な会社かを判断する
複数社への査定依頼
売りに出そうとしている家について、複数の不動産会社に売却見込み額を算出してもらいます。
査定の役割は価格を知ることにとどまりません。担当者とやり取りするなかで、仲介を任せる会社を選ぶための材料を集める機会でもあります。
提示される金額は、各社が蓄積してきた取引実績や、エリアの市況の読み方、算出の方法によって差が出ます。
1社だけの金額をうのみにせず、何社かの査定結果を並べて見比べることが大切です。
一括査定サイトの活用

不動産の一括査定サイトなら、まとめて複数社に依頼できるため、各社へ個別に申し込む手間を省けます。
なお、査定結果の読み解き方や妥当な価格の考え方も押さえておきたいところです。
③ 媒介契約【依頼先となる不動産会社を見極める】
ステップ3として取り組むのが「媒介契約」の締結です。
媒介契約は、家などの不動産を手放すにあたり、買主探しの仲介を不動産会社へ任せるための契約を指します。
契約を結んだあとは、不動産会社が販売活動を担い、購入してくれる相手を探す流れとなります。
どの媒介契約を選ぶかによって、不動産会社が販売にかける熱量は変わり、売却がうまく進むかどうかも左右されます。
契約の中身をしっかり把握し、納得できた段階で締結するよう心掛けましょう。
【押さえておきたい点】
- 自分の状況に合った契約形態を選択する
- 契約書の中身、なかでも仲介手数料の条件をしっかり確かめる
選べる媒介契約の形態
依頼先の不動産会社が決まった段階で、媒介契約を結ぶ流れになります。
媒介契約は次の3種類に分かれているため、自分に合うものを見極めて選ぶことがポイントです。
【媒介契約の比較】

| 契約の種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 専属専任媒介契約 | 依頼先は1社に限定されます。売主が自分で買主を見つけた場合も、依頼中の媒介業者を通して契約を結ぶ決まりです。レインズ(※)への登録が義務づけられており、業者側には販売状況を1週間に1 回以上報告する義務もあります。 |
| 専任媒介契約 | 1 社にしか依頼できず、レインズへの登録が義務となる点は専属専任媒介契約と共通です。一方で、売主が自力で見つけた買主とは、業者を介さずに契約を結べます。販売状況の報告は2 週間に1 回以上と定められています。 |
| 一般媒介契約 | 複数の業者へ同時に依頼できます。売主が自ら見つけた買主と、業者を通さず契約を結ぶことも可能です。レインズへの登録は義務づけられていません。 |
※レインズ:指定流通機構(国土交通大臣が指定)が運営する物件情報のネットワークシステム。専属専任媒介契約または専任媒介契約を結んだとき、さらに売買等の契約がまとまったときには、宅地建物取引業者に対して取引価格等の登録・通知が義務として課されている。
ざっくり言えば、売主側の制約が大きい契約ほど、不動産会社は販売に力を入れやすい仕組みです。

ふさわしい契約形態は売主の事情や希望によって変わりますが、とくにおすすめしたいのは「専属専任媒介契約」です。
「一般媒介契約」は複数の会社と並行して契約できる反面、各社が力を入れにくくなり、よい条件で売り抜くのは難しくなりがちです。
不動産会社側からすると、手間をかけて販売しても他社に成約を持っていかれるおそれがあり、取り組む旨みが小さい案件といえます。
「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」とで異なるのは、売主が見つけた相手と直接契約を交わせるかどうかという点です。とはいえ、自力で買主が見つかった場合でも、不動産会社を間に入れたほうが安心でしょう。
個人同士だけでやり取りを進めると、トラブルに発展するおそれがあるためです。
加えて、買主が住宅ローンを利用するケースでは、不動産会社が作成する重要事項説明書などがそろっていないと、ローンの申し込みを受け付けてもらえないのが一般的です。
こうした理由から、とくにこだわりがなく契約形態の選び方に迷うときは、まず「専属専任媒介契約」を候補にしてみてください。
仲介手数料の上限と支払い時期
媒介契約を結ぶときは、契約書に書かれた条件を丁寧にチェックしておくことが欠かせません。
なかでも見落としたくないのが、仲介手数料としていくらを、いつ不動産会社へ払うのかという点です。
仲介手数料には法律上の上限があり、次のように決められています。
【法律で定められた仲介手数料の上限】
| 売買代金が200万円以下の場合 | 税抜の売買代金×5% |
| 売買代金が200万円超400万円以下の場合 | 税抜の売買代金×4%+2万円 |
| 売買代金が400万円超の場合 | 税抜の売買代金×3%+6万円 |
※いずれも別途、消費税がかかります。
一例として、家が1,000万円で売れたケースで上限額を算出してみます。
- 売却価格:1,000万円
- 上限額(税抜):1,000万円 × 3%+6万円=36万円
- 消費税分:36万円 × 10%=3.6万円
- 合計の上限額:36万円+3.6万円=39.6万円(税込)
仲介手数料は成功報酬の扱いとなるため、売買契約がきちんと成立したときに限って支払いが発生します。
媒介契約を結んだあとでも、売却に至らなければ手数料の支払いは不要です。
支払いのタイミングは、売買契約の締結時に半額、決済・引渡しの際に残りの半額とするケースが多く見られます。
ほかに費用が発生しないか、いつ何を支払うのかを、契約書で前もってチェックしておくと安心です。
④ 販売活動【買主探しをスタート】
ステップ4にあたるのが「販売活動」です。
この段階では、不動産会社と話し合いながら売り出し価格や売り方の方針を固め、購入者を探していきます。
あわせて、購入を検討している人の内覧に丁寧に応じることで、成約までの流れが円滑になりやすくなります。
【押さえておきたい点】
- 売り出し価格は不動産会社と話し合って決める
- 担当者と一緒に販売の方針を固める
- 購入希望者の内覧に応じる
売り出し価格と販売方針の決め方

媒介契約が済んだら、担当者と打ち合わせをして売り出し価格と販売の進め方を決め、いよいよ市場に出していきます。
売り出し価格は、売主が希望する金額と不動産会社が出した査定価格を照らし合わせながら決めていきます。
最終的な成約価格は買主側の希望額との交渉で決まるため、交渉の余地を見込んで、やや高めに設定するケースが多いでしょう。
もっとも、ふさわしい売り出し価格は販売戦略によって異なるので、担当者と十分に話し合うことが大切です。
内覧を迎える際の注意点
物件の情報が世に出て、関心を持った人が現れると、「内覧」の希望が寄せられます。
内覧は、購入を考えている人が物件まで足を運び、自分の目で確かめる見学のことです。
内覧の場で好印象を持ってもらえれば、成約までスムーズに進みやすくなります。
【内覧前に整えておきたいこと】
- 片付けと掃除を済ませる:部屋の中だけでなく、水回り・ベランダ・庭まで含めて清掃し、きちんと片付けておきます。クローゼットや押し入れも、開けて見てもらえる状態にしておくと安心です。
- 明るく開放的な空間に見せる:使っていない物はなるべく手放し、窓ガラスもきれいに磨いたうえで、照明は明るくつけておきます。光が入り開放感のある雰囲気を意識すると、部屋を広く感じてもらいやすくなります。
- 直せる部分は補修しておく:壁に空いた穴や床のキズ、網戸・ふすまの破れといった手軽に直せる箇所は、内覧の前に手を入れておきます。
- 空気の入れ替えと室温を整える:においがこもらないよう前もってしっかり窓を開けて空気を入れ替え、部屋の温度も過ごしやすい状態に保ちます。
- 物件の詳しい資料をそろえておく:購入時のパンフレットや設計図、四季折々の景色を撮った写真などを用意しておくと、内覧者に喜ばれます。
また、内覧に来た人と、契約条件に関わるやり取りはしないよう気をつけましょう。
例を挙げると、「●●の箇所は直してもらえますか?」「はい、大丈夫です」のような口約束を交わしてしまうと、あとから揉めごとにつながるおそれがあるためです。
⑤ 条件の交渉【買主との合意点を探る】
家を売る流れのステップ5にあたるのが「条件交渉」です。
売主と買主それぞれの要望を擦り合わせ、双方が納得したうえで取引をまとめるための大切な段階といえます。
交渉の対象は金額に限られません。引渡しのタイミングや設備の修繕といったいくつもの項目を並行して調整していく点が、不動産売却ならではの特徴です。
【ポイント】
- 購入を希望する方との間で条件を擦り合わせる
- 譲歩できない条件はあらかじめ線を引き、不動産会社の担当者に伝えておく
交渉の対象になる主な条件
内覧の後に購入を検討する方が出てきた段階で、売買条件についての話し合いが始まります。
交渉で意識したいのは、売主と買主のどちらも受け入れられる着地点を探ることです。金額以外の条件にも目を向けて調整すれば、契約までたどり着ける見込みが高まります。
【交渉で話し合う条件の例】
- 売買の金額
- 手付金をいくらにするか
- 物件を引き渡すタイミング
- 契約不適合責任を負う期間
- 土地を実測するかどうか
- 実測する場合に、確定した面積をもとに代金を精算するかどうか
- 建物・設備を修繕するかどうか
- 古家が残っている場合の解体の有無、固定資産税・都市計画税といった公租公課の精算のしかたと金額
※個別に話し合うだけでなく、いくつかの条件を組み合わせて調整するケースもあります。
なかでも価格に関しては、多くの場合「買主から値下げの相談が入るもの」と心得ておくと安心です。
値引きに応じられる上限をあらかじめ決めておけば、買主から価格の相談があった際も落ち着いて判断しやすくなります。
希望条件の担当者との事前共有
買主側から強い姿勢で値下げを求められた場合でも、慌てずに、譲歩できない一線は守り抜く姿勢が求められます。
備えとして、どこまでなら歩み寄れるのかを不動産会社の担当者と前もって話し合い、基準を決めておくとよいでしょう。
売主と購入希望者がともに受け入れられる着地点を見いだせれば、売却の手続きも滞りなく進みやすくなります。
⑥ 契約の締結【買主と正式に契約を交わす】
家の売却のステップ6では、買主と「売買契約」を交わします。
契約が結ばれた時点で売却は確定し、引渡しへ向けた準備の段階へと移ります。
ただし、契約後は売主にも買主にも法律上の義務が生じます。内容を十分に確かめ、トラブルの芽を前もって摘んでおくことが大切です。
【ポイント】
- 契約書の草案を前もって入手し、中身に目を通す
- 解約手付の取り決めを確かめておく
契約書で確認したい項目
購入希望者と条件面で合意できた段階で、売買契約を結びます。
不動産取引で生じるトラブルには、「契約内容をよく確かめていなかった」ことが原因となっているケースも見られます。
契約の前に売買契約書の草案をもらい、時間をかけて中身を確認しておきましょう。
売買契約書には、売却価格や引渡しの時期、費用の負担、違約金をはじめとする取引上の条件が一通り盛り込まれています。後々のもめごとを避けるためにも、事前の確認が欠かせません。
【契約書の確認ポイント一覧】
●契約の全体像
□ 希望していた条件が盛り込まれているか
□ 自分が守るのが難しい条件は含まれていないか
□ 内容があいまいな条件は残っていないか
□ 消費者契約にあたるか(あたる場合、消費者に不利な条項は無効)
●物件の表示内容
□ 物件の表示内容に間違いはないか
●代金・手付金等の金額と支払日
□ 代金や手付金等の金額は正しく記載されているか
□ 買主が支払う日はいつになっているか
□ 手付金の性質はどれにあたるか(解約・証約・違約)
□ 手付金等の金額は高すぎず、低すぎない水準か
●土地の実測と代金の精算
□ 土地を実測する予定はあるか
□ 面積が増減した場合に代金を精算するのか、精算するなら単価に誤りはないか
●所有権移転・引渡し
□ 所有権を移す時期や引渡しの時期に無理はないか(予定どおりに引き渡せるか)
●権利上の負担の消除
□ 完全な所有権の状態で物件を引き渡せるか(抵当権や賃借権などを漏れなく整理できるか)
□ 賃借権などを買主が引き継ぐ場合、内容ははっきりしているか
●危険負担の取り決め
□ 契約を結んでから引渡しまでの間に、天災等で物件が滅失・毀損したときの扱いが定められているか
●手付解除の条件
□ 手付解除ができるか、またその期限はいつか
□ 手付金の額が適正な範囲に収まっているか
●契約違反時の解除
□ 違約金・損害賠償の予定額は妥当な水準か
●契約不適合責任の範囲
□ 責任を負う期間の設定に問題はないか
●付帯設備等の扱い
□ 買主へ引き渡す付帯設備等がはっきりしているか
●公租公課等の精算方法
□ 精算の対象となる項目がはっきりしているか
□ 精算のやり方と金額を理解しているか
●住宅ローン特約
□ 買主が住宅ローンを使う予定で特約が付いている場合、買主の信用力から見て借入額などの内容に無理がないか(無理があると、契約が解除される可能性が高くなる)
●そのほか
□ ほかに取り決めておきたい事項は残っていないか
出典:不動産流通推進センター
解約手付の仕組み
売買契約で押さえておきたい項目の一つが「解約手付」です。
【解約手付の意味】
- 買主側は、支払い済みの手付金を手放す(返してもらわない)ことで
- 売主側は、受領済みの手付金の倍額を買主へ戻すことで、売買契約を解除できるという性質をもつ手付金を指します。
言い換えると、手付金とは、自分の都合で契約を取りやめる側が相手に支払うペナルティのようなものといえます。
手付金の額は、安易な契約解除を防ぐ歯止めとして妥当な水準にしつつ、自分が支払う側に回るケースも想定して決めることが大切です。
目安は、売買代金に対して10%程度とされることが多いようです(2026年9月時点)。
⑦ 決済・引渡し【代金を受領して物件を明け渡す】
ステップ7として取り組むのが「決済・引渡し」の手続きです。
手続きが終わった時点で物件は正式に買主のものとなり、売主の手元には売買代金が入ります。
ただし、当日に不備※が見つかった場合には、契約違反とみなされるおそれもあります。
※ここでいう不備とは、売主が用意しておく書類をそろえ忘れてしまうケースを指します。
当日を滞りなく迎えられるよう、書類と手続きの段取りを前もってチェックしておくことが大切です。
【ポイント】
- 買主から売主へ売買代金が支払われる(決済)
- 代金を受け取るのと同時に、売主が物件を買主へ明け渡す(引渡し)
- 仲介を担った不動産会社へ手数料を支払い終える
決済日当日の進み方

関係者が不動産会社や金融機関、司法書士事務所といった場所に集まり、決済・引渡しを進めます。
買主が売買代金を支払い(住宅ローンを使う場合は融資が実行されます)、売主は所有権移転登記で用いる書類を一式そろえて買主側へ渡します。
所有権移転登記の申請は、売主と買主の両者から依頼を受けた司法書士が代理で行うのが一般的です。
当日までにそろえる書類
決済・引渡しに向けては、求められる書類を漏れのないようそろえておくことが欠かせません。
売主の用意が足りずに、契約で定めた期日に引渡しを終えられなければ、大きなトラブルにつながるおそれがあるからです。
【決済・引渡しで用意する書類の一例】
●登記にかかわる書類等
・所有権移転登記で使う書類等(書面で登記を申請するケース)
登記識別情報または権利証、印鑑証明書(登記申請日の時点で発行から3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士あての委任状など
・抵当権抹消登記で求められる書類等
※登記にかかわる書類等は、司法書士などの専門家へ確認するとよいでしょう。なお、オンラインで登記を申請するときは、用意するものが変わります。
●実印(登記関係の書類への押印用)
●登記にかかる費用
●実測図・境界確認書(求められた場合のみ)
●残代金・各種精算金などの領収書(振込で支払うときは、振込控えで代わりとすることもある)
●建築関係の書類や物件の鍵など、買主に引き継ぐもの一式
●仲介手数料(媒介契約書に定めた支払条件に沿って用意し、不動産会社から領収書を受け取る)
出典:不動産ジャパン
各書類をどこで手に入れられるのかも、あらかじめ把握しておくと安心です。
| 書類名 | 取得先 |
| 登記識別情報または権利証 | 不動産の取得時に法務局が交付したものを使います。 |
| 印鑑証明書・住民票 | 市区町村の役所、またはコンビニ(マイナンバーカードが必要) |
| 固定資産評価額証明書 | 市区町村役所の税務課※1 |
| 司法書士への委任状 | 司法書士へ依頼したときに、事務所側から渡されます。 |
| 実測図や境界確認書 | 測量を担当した土地家屋調査士や建築士事務所※2 |
※1:取得の際に用意するもの→本人確認書類と、不動産の所在地がわかる情報
※2:測量後に役所へ登録していれば、市区町村の役所が保管しているケースもあります。
仲介手数料の残金についても、売主が不動産会社へ支払うのは決済・引渡しの日です。
⑧ 確定申告【売却後の税金の手続き】
ステップ8として控えているのが「確定申告」です。
ここでは、申告が求められるケースや手続きを行う時期、特例・控除を受けるための方法を取り上げます。
売却にかかわる税の手続きは、期限に遅れるとペナルティを科されるおそれもあります。早めに準備へ取りかかり、滞りなく申告を終えましょう。
【ポイント】
- 期限内に申告と納税を済ませ、脱税とみなされないよう注意する
- 特例・控除の申請を忘れていないか入念にチェックする
申告を行う期間

申告期間は、不動産を売った日の翌年2月16日〜3月15日です。
売却後の確定申告は原則として自分で進められますが、控除や経費の計上が込み入るケースでは専門家に任せると心強いでしょう。
相談先としては税理士が挙げられるほか、最近は「確定申告代行サービス(オンライン含む)」も利用できます。
税理士(税務のプロ)
譲渡所得や控除の知識が豊富で、込み入ったケースにも対応しやすい
書類の作成から税務署とのやり取りまで広く任せられる
確定申告代行サービス(オンライン含む)
書類をオンラインで提出すれば、必要な項目の入力や書類作成を代行してもらえる
踏み込んだ税務相談を希望するなら、税理士資格のある担当者が在籍しているか確かめておくと安心
税理士の探し方としては、ネット検索や知人からの紹介、税理士紹介サイトの活用に加え、売却を任せた不動産会社や借入先の金融機関から提携税理士を紹介してもらう方法もあります。
確定申告代行サービスであれば、「確定申告代行」といったキーワードで検索すると見つかります。最近は税理士事務所が手がける代行サービスも増加傾向にあります。
依頼時にかかる費用の目安は次のとおりです。あくまで一般的な水準としてご覧ください。
| 依頼の方法 | 費用相場の目安 |
|---|---|
| 税理士へ直接依頼 | 3万円〜10万円程度 |
| 確定申告代行サービス(オンライン) | 2万円〜5万円程度 |
| 不動産会社と提携する税理士 | 3万円〜10万円程度(紹介料を含む) |
※依頼する範囲(書類の作成だけか/税務署への提出・相談まで含むか/電話サポートがあるか など)に応じて費用は変動します。
- 「譲渡所得の計算が込み入っている場合」→ 税理士への依頼が安心
- 「内容がシンプルで費用を抑えたい場合」→ オンライン代行サービスや書類作成だけのプランを活用
わからない点が出てきたら、税務署や税理士へ早めに相談するなどして、準備を整えておきましょう。
申告が必要になるケース
確定申告が欠かせないのは、次のようなケースです。
- 売却によって譲渡益が生じ、税金を納める必要がある
- 納める税金はないものの、特例・控除を適用したい
譲渡益や特例・控除の詳細は、後半の「家を売る際にかかる費用・税金」で取り上げます。
\ 査定の依頼は無料です /
家の売却完了までに要する期間の目安

首都圏の2025年のデータでは、売り出しから買主が決まるまでに要した日数は、中古マンションで82.5日、中古戸建住宅で100.9日でした。買主が決まったあとにも諸手続きが控えているため、引き渡しの時期まで見通すなら、もう1〜2か月ほどゆとりを持たせて計画しておくと落ち着いて進められます。
【売却完了までに要する期間の目安】
① 物件の種別ごとに見る売却期間の目安
② 長期化の原因と、引き渡し日からさかのぼって組む売却計画
物件の種別ごとに見る売却期間の目安|マンション82.5日・戸建て100.9日
どのくらいの日数で買主が見つかるかは、マンションか戸建てかといった物件の種類によって変わります。東日本レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構)がまとめた首都圏の2025年のデータでは、物件の登録から契約がまとまるまでに要した日数が以下のように示されています。
| 種別 | 成約に至るまでの所要日数 |
|---|---|
| 中古マンション | 82.5日(約2.7か月) |
| 中古戸建住宅 | 100.9日(約3.3か月) |
| 土地 | 89.8日(約3.0か月) |
マンションと比べると、戸建ては買主が決まるまでに2〜3週間ほど多く時間を要する傾向がうかがえます。戸建ての場合は、土地の形や道路への接し方、建物の傷み具合など、購入を検討する側がチェックするポイントが増えることが一因とみられます。
上の表の日数は、売り出しを始めてから購入希望者と契約がまとまるまでの期間を指しています。契約後にも、買主側の住宅ローン本審査、引っ越しの準備、登記といった工程が残ります。引き渡しの完了までを見通すには、表の日数にさらに1〜2か月を上乗せして考えておくと安心です。
市場の状況を踏まえて売り出すタイミングを検討したい方は、マンションの売り時を見極めるポイントを解説した記事も参考にしてください。
長期化の原因と、引き渡し日からさかのぼって組む売却計画
売却が長引くケースでよく見られる原因としては、相場とかけ離れた売り出し価格、内覧に応じられる日時の少なさ、需要が落ち着く時期での売り出しの3点が考えられます。どれも売主の工夫しだいで改善を図れる部分といえます。
- 相場とかけ離れた価格で売り出している:反響が得られないまま日数だけが経過し、値下げを繰り返す流れに陥りやすくなります
- 内覧に応じられる日時が少ない:見学してもらえる機会が減るため、購入を検討する人と接する場面も限られてしまいます
- 住み替えの多い時期を外して売り出した:1〜3月と9〜10月は、引っ越しに伴う需要が活発になりやすい時期といわれています
引き渡したい時期がはっきりしているなら、その時期からさかのぼって段取りを組むと計画を立てやすくなります。仮に引き渡しの期限を4月としたいのであれば、買主が決まるまでの期間(マンションなら約2.7か月、一戸建てなら約3.3か月)に契約後の1〜2か月分を加えると、前年10〜11月あたりまでに査定を申し込んでおく見通しになります。
\ 複数社の意見を比べると、相場も期間も見立てやすくなります /
家の売却で発生する費用と税金

家を売却するときは、いくつもの費用や税金の支払いが発生します。
あらかじめ内訳をつかみ、必要なお金を用意しておくと安心です。
【家の売却で発生する費用と税金】
① 仲介手数料と諸費用
② 売却益にかかる税金|譲渡所得税
仲介手数料と諸費用|成約時に不動産会社へ払う報酬や印紙代など
最初に押さえておきたいのが、仲介手数料をはじめとする諸費用です。主な内訳は次のとおりです。
【売却時に発生する主な費用】
| 項目 | 概要(金額はおおよその目安) |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売買が成立したときに不動産会社へ支払う報酬 代金が200万円以下の場合:売買代金×5% 代金が200万円超400万円以下の場合:売買代金×4%+2万円 代金が400万円超の場合:売買代金×3%+6万円 (別途、消費税がかかります) |
| 印紙代 | 売買契約書へ貼る収入印紙の代金 (売買代金に応じて額が変わります/参考:印紙税額の一覧表) |
| ローンを一括返済する際の手数料 | 1〜3万円+消費税 |
| 抵当権を抹消する登記(住宅ローン) | 登録免許税(抹消登記):1,000円(1不動産ごと) 司法書士に支払う報酬:2〜3万円程度 |
| ハウスクリーニング代 | 3万円〜 |
| 引っ越し代 | 3万円〜10万円以上(間取りや荷物の多さで変動) |
仲介手数料の金額は、次の速算式でおおまかに算出できます。

具体例として、「住宅ローンが残る、売買代金2,000万円のマンション」を売るケースで費用を見積もってみます。
【費用の試算例】
- 仲介手数料:2,000万円 × 3% + 6万円 に消費税を加えて 726,000円
- 印紙代(収入印紙):10,000円
- 抵当権の抹消にかかる費用:22,000円
- ハウスクリーニング代:50,000円
- 引っ越し代:100,000円
—
総額:908,000円
売却益にかかる税金|譲渡所得税
自宅の売却で得た譲渡所得への課税は「分離課税」と呼ばれ、給与所得をはじめとする他の所得とは切り離して税額を算出します。
譲渡所得金額の求め方
税金の対象になる譲渡所得金額は、次の計算式で求めます。

(注1)譲渡価額は、土地・建物を売って受け取った代金などを指します。
(注2)取得費は、売却した土地・建物を購入した際の代金や購入手数料など、資産を手に入れるためにかかった金額に、購入後に支払った改良費や設備費などを足した合計額です。
建物の取得費を出す際は、所有していた期間の減価償却費に相当する額を差し引きます。加えて、土地・建物の取得費がわからない場合や、実際の取得費が譲渡価額×5パーセントを下回る場合には、概算取得費として、譲渡価額×5パーセント相当額を取得費に充てることが認められています。
(注3)譲渡費用は、土地・建物の売却のために支払った費用のことです。具体的には、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代のほか、売却時に借家人などへ渡した立退料や、建物を解体してから土地を売る際の取壊し費用などが該当します。
【譲渡所得金額の試算例】
- 譲渡価額(売却代金):2,000万円
- 取得費:1,800万円
- 譲渡費用:90万円
—
譲渡所得金額は 2,000万円 – (1,800万円 + 90万円) で 110万円
このように、税金の対象となるのは売却代金そのものではなく、経費を引いたあとに利益(儲け)が残った場合です。
譲渡所得にかかる税率
算出した譲渡所得金額には、次の税率で所得税・住民税(いわゆる譲渡所得税)が課されます。
【所得税・住民税の税率】
| 区分 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
注1:マイホームの売却では、税率が軽くなる特例を使える場合があります。
注2:確定申告では、基準所得税額(所得税額から、控除できる金額を差し引いたあとの額)に2.1%を乗じた復興特別所得税も、所得税とあわせて申告・納付します。
表のように、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」のどちらに当たるかで税率に差があります。
区分ごとの判定基準は次のとおりです。
| 長期譲渡所得 | 売却した年の1月1日時点で、土地・建物を持っていた期間が5年を超える |
| 短期譲渡所得 | 売却した年の1月1日時点で、土地・建物を持っていた期間が5年以下 |
所有期間が「5年」を超えるかどうかで税率に大きな開きが出るので、売却時期を考える段階で意識しておくと安心です。
売却時に使える特例・控除
譲渡所得金額がプラス(黒字)になっても、特別控除を活用して税負担を抑えることで、納める税額が少なくなったり、納税の必要がなくなったりするケースがあります。

一例として、マイホームの売却で所定の要件を満たせば「3,000万円の特別控除の特例」の対象となり、利益のうち3,000万円までを差し引けます。
【3,000万円の特別控除の特例のイメージ】

判断に迷う点がある場合は、税務署や税理士といった専門家に相談しつつ、確定申告に備えると安心です。
お近くの相談先については、税についての相談窓口(国税庁)のページで調べられます。
売却に伴う費用と税金は細かな条件によって変わるため、売り出す前にひととおり確認しておくことをおすすめします。
状況別に見る家の売却方法

住宅ローンの返済が続いているか、相続で引き継いだ物件か、住んだまま売り出すのかなど、置かれた状況によって家の売却の段取りは異なります。以下では、とくにご相談の多い6つのケースを取り上げ、はじめに押さえておきたいポイントをまとめました。
【状況別に見る家の売却方法】
① ローン返済中の家の売却
② 相続物件・空き家の売却
③ 離婚時の家の売却
④ 居住中の売却と住み替え
⑤ 築40年級の古家の売却
⑥ 売れ残ったときの立て直し方
ローン返済中の家の売却|残債と売却額の差を埋める方法
売却で得たお金でローンを全額返済し、抵当権を外せるのであれば、返済途中の家でも売り出せます。最初にチェックしたいのは、ローン残高と想定される売却価格との開きです。
売却額がローン残高より多いケースを「アンダーローン」、少ないケースを「オーバーローン」といいます。アンダーローンなら、決済の場で売却代金を返済に充てて完済し、引き渡しまで一気に進められます。
オーバーローンのときは、足りない金額を手元資金でまかなうか、住み替えローンを利用するかを考えることになります。住み替えローンとは、新しい住まいの購入費に残りの債務を加えて借り入れる仕組みです。ただ、借りる金額が膨らむため、審査のハードルは上がりやすいといわれています。
購入を先行させて住み替える場合、一定期間ローンを2本同時に返済するダブルローンの状態に陥るケースもあります。毎月の返済額がどう推移するかを試算したうえで行動に移すと安心です。
\ ローン残高と査定額の差をまず把握しましょう /
相続物件・空き家の売却|相続登記の完了が売り出しの前提
親などから引き継いだ家を売り出すには、名義を相続人に移す相続登記を先に完了させる必要があります。相続人が複数いるときは、遺産分割協議で取得する人を決める段階からのスタートです。
相続で取得した家を売る際には、税負担を抑えられる特例が2つあります。どちらにも適用期限が設けられているので、売り出す時期を検討するタイミングで一緒にチェックしておくと安心です。
| 制度名 | 適用期限と主な条件 |
|---|---|
| 取得費加算の特例 | 相続開始日の翌日から、相続税申告の期限翌日以後3年が経過する日までに売却すること。相続税が課されていることが適用の条件 |
| 空き家の3,000万円特別控除 | 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの期間に売ること、売却額が1億円以下であること、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋であることなどが条件 |
売却・賃貸・保有の継続のどれを選ぶか決めかねている方は、実家の空き家をどう扱うかや、実家の処分を判断するポイントを解説した記事も参考にしてください。
\ 空き家や地方にある家の査定にも対応しています /
離婚時の家の売却|まずは名義とローンを整理
離婚をきっかけに家を手放すときは、販売に取りかかる前に、名義とローンがどうなっているかを把握しておきます。チェックポイントは「登記簿上の所有者はどちらか」「ローンの契約者・連帯保証人はどちらか」の2点です。
夫婦の共有名義になっている物件は、共有者が全員同意しない限り売れません。一方だけの判断で売却を進めることはできないので、話し合って決めた内容を書面にまとめておくと、後々の手続きが円滑に進みます。
ローンの残債があるときは、売却額で返し切れるかどうかによって手順が異なります。返し切れない場合は、夫婦間で住む人と返す人を取り決めたとしても、金融機関との契約内容はそのまま残る点に気をつけましょう。
居住中の売却と住み替え|引き渡しまで今の家で暮らせる
今の家に暮らしたまま売却活動を進めることも可能です。引き渡し日まで住んでいられるので、事前に仮住まいを確保しなくても問題ありません。居住中の状態で売りに出されている物件も、実際には多く見られます。
居住しながら売る際に負担となりやすいのが内覧の受け入れです。購入希望者の見学に合わせて時間をつくる必要があり、その都度の片付けや清掃も欠かせません。内覧日をまとめて組めるよう不動産会社と調整しておけば、手間を減らしやすくなります。
住み替えの場合は、売るのと買うのとどちらを先にするかによって、お金の段取りが異なります。売り先行であれば売却額が確定した段階で新居を探せる反面、引き渡しまでに転居先が見つからないと仮住まいを用意することになります。買い先行であれば次の家を確保してから動けますが、売却に時間がかかると負担が二重になります。くわしくは住み替えに適した時期の記事でまとめています。
築40年級の古家の売却|土地として売り出すという選択肢
築年数を重ねた家は、建物部分がほぼ評価されず、売却価格の大部分を土地の値段が占めるケースが多く見られます。記事の前半でも説明したように、木造戸建ての建物は築20年前後で価値がほぼゼロに近くなるといわれています。
考えられる方法は3つで、今の状態のまま売り出す、建物を取り壊して更地にしてから売る、買取に出す、のいずれかです。どれが向いているかは、立地や建物のコンディションしだいで異なります。
- 今の状態で売り出す:取り壊しの費用は発生せず、購入希望者はリフォームや建て替えを見込んで検討することになります
- 取り壊して更地にしてから売る:土地としての魅力が伝わりやすくなる反面、解体費用がかかるうえ、建物が無くなると固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなる点に気をつけたいところです
- 買取に出す:売却額は低めになるものの、契約不適合責任をどう扱うかも含めて、条件をまとめやすくなります
取り壊しを考えているなら、更地にしてしまう前に不動産会社に意見を聞いておくと安心です。建物が残っている状態を望む買主もいるため、先に解体すると打てる手が限られてしまいます。マンションをお持ちの方は、築40年マンションを売却する方法も参考にしてください。
\ 古い家や事情のある物件の買取についても相談可能です /
売れ残ったときの立て直し方|価格・見せ方・依頼先の3点を点検
販売を始めて3か月が経っても反響がないときは、価格、見せ方、不動産会社の3点を順番に点検します。前半で紹介したように、首都圏で成約に至るまでの日数は中古マンションが82.5日、中古戸建住宅が100.9日です。この日数を超えた時点が、何らかの対策を講じる目安になると考えられます。
- そもそも問い合わせが入らない:相場とかけ離れた価格になっている可能性が考えられ、まずは売り出し価格を見直すことが有力な対策です
- 問い合わせはあっても内覧につながらない:掲載している写真の枚数・明るさや、紹介文に盛り込んだ情報の量を点検します
- 内覧はあっても申し込みにつながらない:部屋の印象や、内覧での案内の仕方を改善できる余地があります
媒介契約は最長3か月と決められているので、期間が終わるタイミングは依頼先を見直すきっかけにもなります。販売状況の報告に不満がある場合、更新の際に別の会社への切り替えを検討することも可能です。原因別の対処法は売れないマンションの原因と対策を解説した記事でも紹介しています。
\ 今の状況を伝えると、売却の進め方を提案してもらえます /
家の売却で見落とされがちなポイント

本記事の締めくくりとして、家の売却をはじめとする不動産売却で気をつけたいポイントを確認していきます。
所有期間・ローン残債といった前提条件の整理
売却をうまく進めるうえでは、所有期間がどのくらいか、住宅ローンがどれだけ残っているかといった前提を、最初に洗い出しておくことが大切です。
家の状態や売り出しに適した時期、選ぶべき売却手段は人によって変わるので、状況の全体像をつかんでから計画を立てて動くことをおすすめします。
物件チェックを行う際は、記事の前半で取り上げた「安心して既存住宅を売買するためのガイドブック」を手元に置き、項目ごとに確認しながら整理してみてください。
あわせて、ローンの借入先である金融機関や管轄の税務署、不動産会社の営業担当者といった各分野のプロにも相談し、さまざまな角度から情報を集めておくと安心です。
仲介手数料をはじめとする支払いタイミングの確認

2点目として押さえておきたいのが「仲介手数料をはじめとする支払いタイミングの確認」です。
家の売却にも費用が発生するという事実は、実際に売る立場になって初めて実感する方も多いのではないでしょうか。
仲介手数料のように、売却代金を受け取るより先に支払いが求められる費用もあるので、前もって資金を用意しておくと安心です。
売却と並行して新居の購入も進める(買い替え・住み替え)ケースでは、滞りなく住み替えるための手順やかかる費用について、綿密に計画を練っておくことが大切です。
悪質な不動産業者への備え
3点目は、数は多くないものの存在する「悪質な不動産業者への備え」です。
現実に報告されているトラブルには、次のようなものがあります。
【売却をめぐるトラブルの例】
- 相場を大きく下回る価格での売却
見知らぬ業者から前触れなく電話がかかってきて、「マンションや一戸建てを買い取りたい」と巧みな話術で売却を迫られ、周辺の相場とかけ離れた安値で契約を結ばされる。とくに高齢の方が標的になりやすい。 - 代金の支払いを不当に遅らせる行為
買主である業者が、取り決めた期日を過ぎても売買代金を払わない。 - 原野商法(※)による二次・三次被害
以前に原野商法などで土地を手に入れた所有者を標的とした、詐欺まがいの行為による被害(「売却を手伝う」と持ちかけられ広告費の名目で金銭を払わされる/測量費・造成費などの名目で金銭を払わされる)
※【原野商法の概要】
「原野商法」とは、価格が上がる見込みがほぼない山林や原野を対象に、建設の予定など実際には存在しないのに「開発の計画が進んでいる」「近いうちに道路が通る」といった虚偽の説明をしたり、「今後値上がりするのは目に見えている」などと不適切な勧誘をしたりして売りつける手口です。被害が相次いだのは1970年代から1980年代の時期です。
出典: 政府広報オンライン
こうした被害を避けるには、「家を売るまでの具体的な流れ」の章で解説したとおり、相場感をつかんだうえで、売主側から複数の不動産会社へ声をかけ、査定を依頼することが大切です。
媒介契約を結ぶ前の段階で、依頼先のこれまでの取引実績や行政処分を受けた履歴もチェックしておきましょう。
東京都であれば、次のような情報を確認することができます。
【宅地建物取引業者の免許情報提供サービス 】
東京都庁では、都知事から免許を受けた業者と、都内に本店を構える国土交通大臣免許の業者を対象に、下表の項目などが載った名簿や申請書類などを閲覧できます。さらに、免許証番号・商号・代表者名・行政処分歴といった名簿の一部は、インターネット上でも確認可能です。(宅建業者の免許情報提供サービス )

買主との紛争を避けるための告知・確認
4点目は「買主との紛争を避けるための告知・確認」です。
契約で取り決めた内容と食い違う状態の物件を売主が引き渡してしまうと、深刻なトラブルにつながるおそれがあります。
買主から修繕を要求されるほか、状況次第では損害賠償の請求や契約解除にまで発展することも考えられます。
把握している欠陥や不具合があれば、告知書などの書面で一つ残らず買主へ伝えるよう心がけましょう。
伝えた欠陥・不具合の内容は、売主と買主の両者で確かめ合います。
「現状のまま引き渡す/修繕してから引き渡す」といった取り決めも売買契約書に明記し、のちの紛争の種を残さないようにしておきましょう。
家の売却に関するよくある質問
家の売却は、想像以上に手間と時間を要することが多いものです。
進め方や気をつけたい点、相場の目安、売り出す時期など、疑問が次々に浮かんでくる方も多いでしょう。
ここでは、売却を考えている方から特に寄せられやすい疑問を取り上げ、順に回答していきます。
家の売却はどこへ相談するとよいですか?
どの家にも当てはまる「この依頼先が一番」という正解はありません。
売却の目的や物件の条件、売主の事情によって、向いている依頼先が変わってくるためです。
不動産売却マイスターとしては、複数社へまとめて査定を依頼できる一括査定の利用をおすすめしています。
一括査定なら各社の提案を見比べながら、希望に合う売却先にめぐり合える可能性が高まるので、初めて家を手放す方にも向いています。
利用方法も、目的に合った一括査定サイトを選び、物件情報などを入力するだけと手軽です。
一括査定サイトのおすすめ比較を詳しくまとめた記事もあるので、依頼先選びで迷っている方は参考にしてみてください。
築年数が経った家でも売却できる?
築年数が経過した家でも、売りに出すことは可能です。
立地や敷地の広さに恵まれていれば、建物が古くても思いのほか良い値段がつくことがあります。理由は、戸建ての売却は原則として「建物と土地をまとめて手放すこと」を意味するため、建物そのものの評価が低くても、土地の価値によって相場を上回る価格で売れる場合があるからです。
国内の戸建ては、建物と土地を一緒に所有しているのが一般的な形です。
築年数が進んで建物の評価が下がりやすい物件であっても、駅に近い、買い物施設や学校がそろっているなど住環境に恵まれた地域であれば、土地を目当てに購入を考える買主は一定数います。とりわけ、買主が建物を解体して新しく家を建てるつもりでいる場合、売却額は土地の魅力に大きく左右されます。
例として、都心で駅から歩ける範囲や人気学区の地域などでは土地への需要が強く、築年数の古い家でも高い価格で取引される例は珍しくありません。
「建物が古いので値段はつかないだろう」と考えていたところ、立地が評価されて相場を上回る金額で売れたという例もあります。さらに、再開発が予定されている地域では、将来の資産価値の上昇に期待する買主があらわれ、予想を超える価格を提示されるケースもあるでしょう。
このように、築年数が経った家であっても、土地次第では高値での売却が期待できる場合があります。
売り出すときは建物のコンディションだけに目を向けず、周囲の環境や将来性も含めた「土地」の良さを的確に伝えることが大切です。いくつかの不動産会社へ査定を頼んで結果を見比べることで、より良い条件での売却につなげやすくなります。
相続で受け継いだ家はどう売ればいい?
相続した家を手放すなら、3年以内を目安に手続きを終えることを意識しておきましょう。

目安を3年以内とするのは、次の2つの特例を利用できる可能性があるためです。
【相続した家の売却に適した時期が「相続開始日から10ヶ月経過以降~3年10ヶ月以内」とされる理由】
① 「相続開始日から3年10ヶ月以内」に売ることで、相続税の「取得費加算の特例」を使える可能性があるため
② 「相続から10ヶ月間」は売らずに保有することで、「小規模宅地等の特例」が適用される可能性があるため
①「取得費加算の特例」(相続税)の概要
【取得費加算の特例のしくみ】
下記の条件を含め、すべての要件を満たした場合に、家の売却で得た利益(譲渡所得)の一部を課税(譲渡所得税)の対象から外せる=納める所得税を抑えられる
【特例を利用するための主な要件】
①相続や遺贈によって財産を受け継いだ人であること
②財産を受け継いだ人に相続税が課されていること
③相続が始まった日の翌日以降、相続税申告の期限翌日から数えて3年が経過する日までに、財産を売却などで手放していること など
※参考:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
要点をまとめると、家の売却益(譲渡所得)に対して課される税金(譲渡所得税)の負担を軽くできる可能性があります。
②「小規模宅地等の特例」の概要
【小規模宅地等の特例のしくみ】
下記の条件を含め、すべての要件を満たした場合に、相続した宅地などについて相続税の課税対象となる金額を最大80%まで減らせる=納める相続税を抑えられる
【特例を利用するための主な要件】
①相続が始まる直前に、被相続人、または被相続人と生計を同じくしていた親族が、事業用もしくは居住用として使っていた宅地などを相続したこと
②被相続人の配偶者でない場合は、「相続税の申告期限まで土地を持ち続けていること」(相続から10ヶ月) など
※参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
端的にいえば、家を受け継いだことで生じる相続税の一部を軽減できる可能性があります。
加えて、相続した家を売却する際は、遺産分割協議や相続登記を済ませておくこと、共有名義であれば共有者全員の同意を得ておくことも求められます。
相続した家の売却手順と気をつけたいポイントは別記事で詳しく紹介しているので、あわせてご確認ください。
住宅ローンが残っている家でも売れる?
住宅ローンを返済中の家でも売却はできますが、一般的な売却と比べて手続きが煩雑になりやすいため、注意しながら進めることが大切です。
理由は、返済中の家には「抵当権(※)」が付いており、売却の妨げになるからです。
※抵当権とは、金融機関が住宅ローンを貸し出す際に、担保として不動産に設定する権利のことです。
返済が滞ると、金融機関は抵当権を実行して物件を競売にかけ、貸したお金を回収することができます。
こうした仕組みから、ローンが残ったままの家は原則として自由に売却できません。売るためには、売却代金や手持ちの資金でローンを完済し、抵当権を抹消する手続きが必要です。
一方で、離婚や急な住み替えといった事情から、ローン残債がある状態のまま売却を進めたい場合は、ローン返済中の家の売却方法や特例措置を上手に使うことで、売却に向けた負担を軽くできることがあります。
売却までの流れや必要な手続きをあらかじめ確認し、納得できる判断につなげましょう。
家をより高値で売るためのポイントは?
家をより高値で売るためには、最初に今置かれている状況を正確につかみ、状況に合った対策をとることが大切です。
- 現在の住まいを好条件で手放したいのか
- 築年数の古い家を少しでも高値で売りたいのか
- 住宅ローンが残る家を高値で売却したいのか
ここに挙げたのはほんの一部ですが、置かれた状況が違えば、高く売るための方法も変わってきます。
状況に合った売却の進め方を理解し、高値で売るための方法やうまく進めるコツを押さえておくことで、より良い条件で売却しやすくなります。
家の売却に適した時期はいつ?
一般的に1月~3月は家の売却に向いた時期といわれ、購入希望者が増えて市場が動きやすくなります。また、築10~15年以内の物件は価格が下がりにくく、高値がつきやすい傾向にあります。
ただし、市場の状況や季節ごとの需要、築年数によって売れる価格は大きく変動するため、時期は慎重に見極めることが大切です。
家を売るタイミングを判断するポイントを押さえておけば、売り出す時期を見定める助けになります。今がご自宅の売りどきかどうか、確かめてみてはいかがでしょうか。
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まとめ
「家を売る」をテーマにお届けした本記事の内容を振り返ります。
押さえておきたいポイントを、改めて整理しました。
売却の大まかな進め方は、次の8つのステップに沿って確認できます。
売却にともなって発生する費用や税金には、主に次のようなものがあります。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 住宅ローンを一括で返済する際の手数料
- 抵当権抹消登記(住宅ローン完済時)
- ハウスクリーニングの費用
- 引っ越しにかかる費用
- 譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税)
- そのほかの費用
あわせて、次の点にも気を配っておくと安心です。
まずは現状の把握と査定の依頼から、一歩ずつ取りかかってみてください。
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