築50年のマンションは売りにくいと言われがちですが、手放すことはできます。
築30年を過ぎたあたりで価格が大きく下がるため、購入後にリノベーションやリフォームを施して暮らしたい層から見ると、手の届きやすい価格帯になっているのが理由です。
東京都内に限っても、築50年マンションの成約は毎年200件を上回っています。下の図は、東京都において2020年に取引が成立した中古マンションを、築年数別に整理したものです。

2022年度の東京都では、築50年~60年未満の物件が平均2,800万円で成約しており、中には1億円以上の価格で取引された例も見られます。
中古マンションのうち築10年未満のものは平均5,100万円なので、比較すると45%程度の水準ではありますが、それでも一定の買い手が存在しています。
ただし、築50年マンションは旧耐震基準で建てられているため、売りにくさを抱えているのも事実です。
築50年を迎えたマンションでは、住宅ローン控除は原則として利用対象外となるため、買主から見ると条件の悪い物件になりがちです。また、築50年という古さを理由に、不動産会社から依頼を断られることもあり得ます。
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ここからは、次の内容を順にお伝えします。
読み終えるころには、築50年マンションに買い手がつくのかを判断でき、円滑な売却に向けて打てる手を一通り準備できるようになります。
年数を重ねるほど売りにくくなると考える方は少なくありませんが、築10年や築20年、築30年、さらには築40年のマンションであっても、買い手が見つかる見込みは十分にあります。
築年数に応じた売り方を押さえておけば、築50年のマンションであっても、しっかり準備を整えることで売却を目指せます。
築50年マンションを手放すか迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。
本題に進む前に、古い物件を売るうえで押さえておきたいことを先にご紹介します。
「築50年も経ったマンションなんて、買い手がつかないのでは…?」
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築50年マンションの売却が難しいとされる理由と実情

「古いから売れない」と決めつけるのは早計です。築50年の物件でも、売れにくさの原因を把握して手を打つことがポイントになります。
実際に、年数を重ねた物件が買い手を見つけている例は少なくありません。
一方で、「地震への強さに対する不安」「ローン審査の壁」「古さからくるイメージ」といった、無視できない課題があるのも確かです。
そこで本章では、売却が難航しやすい原因を整理したうえで、買い手がつきやすい物件の傾向や、実際にどの程度取引されているのかを確認していきます。
順番に見ていきましょう。
築50年マンションに不安の声があがる主な理由|老朽化への懸念
築50年でも売却は可能とお伝えしましたが、買い手が見つかりにくい傾向があるのも否定できません。
ここからは、築50年の物件が敬遠されやすいとされる背景を取り上げます。
敬遠される原因を押さえておけば、売却に向けた手立ても考えやすくなりますので、順に確認しておきましょう。
築50年を迎えたマンションが売れにくいとされる理由として、主に次の3つが挙げられます。
以下で詳しく説明します。
地震への強さに対する不安
地震に弱いのではないかという印象が、買い手を遠ざける一因になっています。
背景にあるのは、築50年の物件が旧耐震基準のもとで建築されているという点です。
耐震基準は、地震に対して建物が備えておくべき強さを示したもので、建築基準法に規定されています。
今あるマンションは、「旧耐震基準」「新耐震基準」のいずれかに沿って建築されたものです。
1981年6月の建築基準法の大きな改正で、耐震基準が見直されました。そのため、建築確認申請の時期が1981年5月31日以前であれば旧耐震基準、1981年6月1日以降であれば新耐震基準の建物として扱われます。
両者の基準の差は、次の表のとおりです。
【旧耐震基準・新耐震基準の比較】
| 地震の大きさ | 旧耐震基準 | 新耐震基準 |
|---|---|---|
| 中規模の地震(震度5強程度) | 倒壊しないこと | ひび割れ程度の軽い損傷にとどめること |
| 大規模の地震(震度6~7程度) | 定めなし | 倒壊しないこと |
2つを比べると、新耐震基準はより大きな揺れまで想定した基準だといえます。こうした違いから、旧耐震基準の建物に危険な印象を抱く方もいます。
ところが、旧耐震基準の時代に建築された物件でも、新耐震基準を満たすほどの強度を備えた建物は少なくありません。
東日本大震災で被災した建物のデータを見ても、基準による被害の差は大きくなかったことがうかがえます。

古い基準で建てられた物件にも強固なものは多く、築年数だけで地震への弱さを判断することはできません。
建物の地震への強さは、日頃の管理の良し悪しにも影響を受けます。
古いマンションであっても、適切に維持管理が続けられていれば、十分な強さを保てると考えられます。
経年劣化への懸念
建物がどこまで長持ちするのかを気にする買い手もいます。
耐震性と耐久性は混同されやすいため、意味の違いを整理しておきます。
【耐震性】…揺れに対して建物が持ちこたえる力
【耐久性】…年月とともに進む傷みへの強さ
築50年の物件の寿命が不安視される要因の1つとして、法定耐用年数として47年が設定されていることが挙げられます。
【法定耐用年数の意味】
建物の耐久性をはかる目安として用いられるのが法定耐用年数(耐用年数)で、鉄筋コンクリート造のマンションでは47年とされています。
ただし、法定耐用年数はあくまで減価償却を行える期間を示したものであり、建物があと何年使えるかを表すものではありません。
償却の期間が終了したからといって、建物として使えなくなるわけではありません。
一般に、マンションは100年以上もつという見方もあります。
もっとも、実際の寿命は、維持管理の状況や立地などの環境によって変わります。
国土交通省が取りまとめた資料には、鉄筋コンクリート造の物理的な寿命を117年とする見解が掲載されています。
・「鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定」飯塚裕(1979)「建築の維持管理」鹿島出版会)
・「鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年」(大蔵省主税局(1951)「固定資産の耐用年数の算定方式」)
出典:国土交通省:RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例 (P9)
適切な管理が続いていれば、築100年を過ぎても十分に使い続けられるという考え方もあります。
言い換えると、47年という法定耐用年数を経過した物件でも、管理や修繕が行き届いていれば、住まいとして十分に機能すると考えられます。
そのため、耐久性への不安が買い手の懸念材料になっていても、管理状態の良い物件であれば過度に心配する必要はないでしょう。
住宅ローン審査への不安
買い手が住宅ローンを利用できないのではないか、という懸念も挙げられます。
マンションの購入資金を、住宅ローンでまかなう方は少なくありません。
融資を受けられないと購入そのものが難しくなるため、築50年の物件は買い手がつきにくいとされることがあります。
住宅ローンでは、返済が滞ったときのために、購入する住宅を担保として設定します。
古い物件は担保としての評価が低くなりやすく、その結果として審査に通らない場合があります。
現に、築年数で融資対象を絞っている金融機関も存在し、下の図はいくつかの金融機関が住宅ローンを貸し出す際の条件をまとめたものです。

図からは、築年数を融資条件に含めている例があり、築50年の物件だと利用できないローンもあることが読み取れます。
とはいえ、築年数の条件はどの金融機関にも共通するものではなく、古さを問わずに融資を検討するところもあります。
築年数を条件にしていない金融機関なら、築50年であることだけを理由に融資を断られることはないでしょう。
以上を踏まえると、「築50年ではローンが組めず売却できない」と過度に心配する必要はないと考えられます。
築50年マンションに買い手がつかないという説の真偽|実際には売却可能
記事のはじめでお伝えしたとおり、築50年を迎えたマンションでも買い手が見つかる可能性は十分にあります。
この項目では、築50年マンションに関する取引の実情と、築50年という古い物件に買い手がつく事情を順に説明します。
東京都内に限っても年間200件以上の成約実績
東京都の取引に限定しても、築50年クラスのマンションは年間200件以上が成約に至っています。
次のグラフは、2020年に東京都内で成約した中古マンションを築年数別に整理したものです。

グラフからは、成約全体のうち築46年~50年は4.4%、築51年以上は2%を占めている様子が読み取れます。
成約数は全体で年間10,000件以上にのぼるため、実数に換算すると東京都内だけで築50年マンションの取引が年間200件以上ある計算です。
築50年と聞くと手放すのは厳しいのではと不安になるかもしれませんが、買い手が現れる余地は十分にあります。
新築価格の上昇で中古物件に注目が集まる状況
築50年の物件に買い手がつく背景として、まず1つに挙げられるのが新築価格の値上がりです。
以下は、令和7年における不動産価格指数の動きを示したグラフです。

※不動産価格指数は、不動産の価格がどう変化しているかを把握するために国土交通省が発表している統計です。
グラフでは、住宅の種類の中でもマンションの指数の伸びが目立っています。こうした状況から、新築のおよそ半額~3分の1程度の金額で手に入る築50年マンションに関心を寄せる買い手がいると考えられます。
加えて、中古物件を購入してリノベーションする住まい方も人気を集めています。
こうした流れもあり、築年数の古いマンションを意図的に選ぶ買い手も見られます。
都心部と比べると、地方ではマンション価格がそれほど大きく上がっていないとされています。
ただ、地方では築50年の物件をより低い予算で購入できるといった事情もあり、築50年マンションが売れたケースは地方にも見られます。
買い手がつきやすい築50年マンションに共通する3つの特徴|立地・価格・管理状態がポイント
実際の成約事例から、買い手に選ばれている築50年マンションの共通点を確認していきます。
成約に至りやすい築50年マンションには、主に次の3つの特徴があります。
以下で順番に解説します。
交通や生活の便が良い立地
交通の便が良く暮らしやすい場所に建つマンションは、求める人が多いため成約につながりやすいといえます。
築50年の物件が建てられた時代は、まとまった用地を確保しやすかったことから、駅のそばなど条件の良い場所に建設された例が少なくありません。
前の章で紹介した事例でも、徒歩3分といった駅至近の物件が成約している点が確認できます。
立地条件の良さは、築50年マンションが持つ強みともいえます。
手頃な価格設定
購入しやすい価格帯のマンションも、買い手が見つかりやすい物件です。
築50年マンションの強みは、新築のおよそ半額~3分の1程度の予算で購入できる点にあります。
次の築年数別の成約価格のグラフからも、新築当時と比べて価格が大きく下がっている様子がうかがえます。

手の届きやすい価格であれば、住まいにかかる費用を節約したい人から選ばれやすくなります。
購入後に一部をリフォームしたり、リノベーションで住まいを一新したりする選択肢もあるため、築年数が古くても割安な価格は大きなアピールポイントになります。
管理状態が良好
日頃の管理がきちんとされているマンションは、買い手に選ばれやすい傾向があります。
マンションの価値を左右するのは管理の質であり、築50年を経過した建物でも、適切に維持・修繕されていれば長く住み続けられる可能性があります。
築50年の物件には、過去の維持管理の実績を確認できるという利点があり、安心して暮らせる建物かどうかを見極めやすくなります。
このような理由から、管理が適切に続けられてきたマンションは成約しやすいといえます。
築50年を迎えたマンションに残る資産価値と将来の価格見通し

売るか買うかを決めるうえで、築50年を迎えたマンションにどれだけの価値があり、価格がこの先どう動きそうかを把握しておくことは大きな意味を持ちます。
価格を左右するのは築年数ばかりではありません。建物の耐久性、買い手の需要、立地、管理の状況といったさまざまな要素が絡み合って決まるためです。
このパートでは「あと何年くらい住み続けられる?」「購入して後悔することはない?」という素朴な疑問を取り上げつつ、先々のマーケットの動きまで掘り下げてお伝えします。
・築50年超のマンションに住み続けられる期間と資産価値の実情
・老後の住居として築50年を経たマンションを買う・持ち続けるリスク
・築50年を経たマンションの売却価格帯とこの先の市場見通し
順番に確認していきます。
築50年超のマンションに住み続けられる期間|構造上の耐久性は60〜100年
建物の構造がしっかりしていて管理も行き届いていれば、築50年を過ぎたマンションであっても引き続き暮らせる可能性は十分にあります。
法律上の耐用年数と、現実に暮らせる年数は別物で、後者は管理の良し悪しによって大きく差が出ます。
国内で建てられるマンションは多くが鉄筋コンクリート造(RC造)であり、構造面では60年〜100年程度の耐久性があるといわれているためです。
次の資料は国土交通省がまとめた報告書です。鉄筋コンクリート造(RC造)に関する研究では、物理的な寿命を117年とする結果も示されています。

1980年代以前に竣工した築40〜50年超の物件であっても、大規模修繕を計画どおりに重ね、管理組合がきちんと機能しているところでは、現在も価値が維持されている例があります。
反対に、修繕の実績が少なく管理もおろそかな建物は、築年数の新旧を問わず価値の目減りが早い傾向にあります。
築年数がそのまま建物の寿命を表すわけではありません。価値を守るうえでは、建物のコンディションと管理の実態を的確に把握することが重要なポイントです。
老後の住居として築50年を経たマンションを買う・持ち続ける場合|建物の傷みと管理体制に懸念
老後を過ごす場として築50年を経た物件を選ぶなら、資産価値の目減りや住環境が悪化するおそれを、前もって理解しておくことが大切です。
古い物件では、修繕にかかる費用の膨らみ、設備の傷み、居住者の高齢化といった問題がいくつも重なって進んでいることが少なくないためです。
エレベーターが設置されていない建物では階段の上り下りが負担になったり、修繕積立金が足りずに必要な手入れが行えないまま価値が落ちてしまったりするケースも見られます。(参考:国土交通省「マンションを取り巻く現状と課題」)
加えて、いずれ手放そうとした際に、古さがネックとなって購入希望者が現れないことも考えられます。
安心して老後を送ることを重視するのであれば、「耐震性」「立地」「管理体制」といった点を多角的に確かめてから、買うかどうかを決めましょう。
購入してから後悔しがちなパターン
古いマンションを買った人が後悔する理由として目立つのは、「予想以上に修繕費が膨らんだ」「建物の傷みが見込みより進んでいた」「この先売れる見込みが薄い」の3点です。
なかでも目立つのは、住み始めてから水漏れや配管の不具合、断熱性能の不足などに気づき、想定外の出費が発生するケースです。
こうした事態は、買う前に管理組合の議事録や長期修繕計画に目を通していなかったことから起こる場合が少なくありません。
どちらの資料も、不動産会社に依頼するという点で手順は共通です。
内覧の際や重要事項説明の場で、「ここ1〜2年分の議事録を拝見できますか?」「最新の長期修繕計画書を見せていただけますか?」などとお願いしてみてください。
資料を手に入れたら、次のような点を見ておくと安心です。
| 見るべき項目 | 注目したい点 |
|---|---|
| 滞納の状況 | 管理費・修繕積立金を払っていない住戸が目立たないか |
| トラブルの記録 | 騒音や住民同士の苦情などが記載されていないか |
| 修繕に関する協議 | これまでの修繕や今後予定されている工事について協議されているか |
| 総会の開催実績 | 総会が定期的に開かれ、話し合いの内容が残されているか |
| 管理会社の姿勢 | 要望や問題の指摘に対して、どう応じたかが記されているか |
さらに、居住者の高齢化で管理組合がうまく回らなくなっている物件では、この先も価値を保っていけるかという不安を抱えることになります。
「買う前にきちんと調べておけば…」と悔やまないよう、事前のリサーチに加えて専門家の意見も聞いておくと心強いでしょう。
移り住む先も含めて検討したい方は、老後に住み替える際の後悔を防ぐポイントもあわせて参考にしてください。
築50年を経たマンションの売却価格帯と今後の見通し|地域次第で1,000万円以上
築50年を経たマンションがいくらで売れるのか、相場の目安を紹介します。
築50年を経たマンションの価格帯は、目安として1,000万円~3,000万円ほどです。もっとも、建物のコンディションや所在地によって上下します。
以下に、主な都道府県における築30年・40年・50年のマンション相場をまとめました。
| 【主な地域で見る築40年・50年マンションの取引価格の平均】 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 主要 都道府県 | 築40年 | 築50年 | ||
| 総額(万円) | 単価(万円/㎡) | 総額(万円) | 単価(万円/㎡) | |
| 東京都 | 4,936 | 70.5 | 4,478 | 64.0 |
| 埼玉県 | 2,487 | 35.5 | 2,110 | 30.1 |
| 神奈川県 | 3,143 | 44.9 | 2,734 | 39.1 |
| 愛知県 | 1,651 | 23.6 | 1,485 | 21.2 |
| 京都府 | 2,532 | 36.2 | 2,016 | 28.8 |
| 大阪府 | 2,315 | 33.1 | 1,919 | 27.4 |
| 兵庫県 | 2,090 | 29.9 | 1,710 | 24.4 |
| 広島県 | 1,754 | 25.1 | 1,711 | 24.4 |
| 福岡県 | 2,109 | 30.1 | 1,867 | 26.7 |
意外かもしれませんが、中古マンションの価格は築25年を超えると下落のペースが緩やかになる傾向があります。
築25年前後で建物の評価はほぼゼロに近づき、価格の大部分を土地の価値が占めるようになるためです。
土地の価格は大きく動きにくいため相場も落ち着きやすく、築50年を迎えた物件でも納得のいく金額で手放せたらうれしいものです。
立地に恵まれ、管理もしっかりしていれば、築50年の物件でもある程度の価格で売れる見込みがあります。
とはいえ、市場の先行きを考えると、値下がりのおそれは無視できません。
国内では人口の減少と空き家の増加が進んでおり、古い物件を求める人は少しずつ減っていくと予想されているためです。


この先は、築年数そのものより「立地」「耐震性能」「管理状態」のほうが価格を大きく左右するようになっていくとみられます。
少しでも良い条件での売却を目指すなら、相場の移り変わりを見据えて、早い段階から準備を始めることをおすすめします。
築50年マンションを売却へ進めるための実践ステップ

築50年のマンションであっても、段取りを押さえて進めれば買い手が見つかる可能性は十分にあります。
築古物件の売却には特有の進め方があり、ポイントを理解して取り組むことで“売りにくさ”を和らげやすくなるためです。
主な流れを以下にまとめました。
①|築古物件に実績のある不動産会社選びと複数社への査定依頼
築50年のマンションを売却する際は、まず築年数の古い物件を数多く扱ってきた不動産会社を何社か探し、査定を申し込むところから始めます。
年数を重ねたマンションは新築や築浅の物件より売却のハードルが高くなりやすく、こうした物件に不慣れな会社では、評価の精度や販売の組み立てに差が出ることがあるためです。
リノベーションの実績が豊富な会社や、投資家向けの物件を得意とする会社であれば、古い住まいの見せ方や価格の付け方に関するノウハウを持っているケースが多く見られます。
1社の結果だけで決めずに3〜5社ほどへ依頼し、金額に加えて「築古物件を売った経験」や「提案がどこまで具体的か」も見比べるとよいでしょう。
どの会社をパートナーに選ぶかが売却の第一歩となるため、焦らずじっくり見極めることをおすすめします。
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②|相場の把握と根拠ある売り出し価格の設定
築年数の古いマンションを売るうえで、何より重視したいのが価格の付け方です。
相場を大きく上回れば買い手がつかず、下回れば手取りが減ってしまいます。妥当な水準をつかむためには、周辺で条件の近い物件の成約例や、いま売りに出ている競合物件を調べておくことが欠かせません。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や「レインズマーケットインフォメーション」といった公的なデータベースを利用すると、過去の取引価格を手軽に調べられます。
以下は、レインズマーケットインフォメーションで福岡県のマンションの取引実績を調べた画面です。

築年数50年以上のマンションでも、成約に至った例があることが読み取れます。
あわせて不動産会社の査定額も踏まえ、値下げ交渉に応じられる幅を見込んだ売り出し価格にしておくのも有効な方法です。
裏付けのある価格であれば、買い手からの信頼も得やすくなります。
③|ホームインスペクション(住宅診断)による建物状態の見える化
売り出す前にホームインスペクション(住宅診断)を受けておくと、建物の気になる点を早めに把握でき、トラブルの予防や価格交渉の円滑化につながりやすくなります。
古いマンションを検討する買主の多くは、「傷んでいる箇所はないか」「安心して暮らせるか」といった心配を抱えているためです。
住宅診断では、第三者の専門家が屋根・外壁・配管・給排水などの状態を確認し、手を入れるべき箇所を洗い出してくれます。あわせて、後半の「3-1売却時にずっと売れない場合に見直すべきポイント」も参考にしてください。
雨漏りの痕跡や給湯器の傷みなどを前もって把握して買主に伝えておけば、安心材料として受け取ってもらいやすくなります。さらに「専門家による診断を受けた物件」として、販売時のアピールポイントにもできます。
国土交通省がまとめた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」では、次のように示されています。
本ガイドラインは、最近の取組事例等も考慮の上、既存住宅インスペクションの適正な業務実施、トラブルの未然防止の観点から、あくまでも現時点において妥当と考えられる一般的な基準等をガイドラインとしてとりまとめている。
参考:国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」
「古い物件は心配」というイメージを和らげるうえで、専門家の診断は効果の大きい手段です。まずは住宅診断で建物の“コンディション”を確かめておくと安心です。
④|広告手法と販売戦略を練った売却活動
築50年のマンションであっても、広告の打ち出し方や販売の進め方を工夫すれば、買い手から選ばれる物件に近づけます。
売れるかどうかは、物件を「どのように見せ、どのように伝えるか」に大きく左右されるためです。
掲載ページに見栄えのよい写真を使ったり、リノベーション次第で住まいが変わる点をコメントで伝えたりするだけでも、内覧の申し込み件数が変わってくることがあります。
築年数ばかりに目が向きやすい物件だからこそ、「南向きで陽当たり良好」「駅から徒歩10分」「毎月の管理費が割安」といった長所を前面に出すことが重要です。
近年は、SNSやポータルサイトを販売活動に組み込む不動産会社も増えてきました。
古い物件だからと手を止めず、売主自身も不動産会社と足並みをそろえて戦略的に動くことで、成約に結びつく可能性は高まります。
⑤|ハウスクリーニング・簡易リフォームによる内覧前の印象づくり
内覧時の第一印象は、売れるかどうかに大きく影響します。
内覧の前にハウスクリーニングや軽いリフォームを済ませておくと、古い物件の見え方はかなり変わります。
室内に清潔感があると、購入希望者は「大切に使われてきた住まいだから安心できそう」と受け止めやすいためです。
水回りのカビを取り除いたり、玄関や窓を磨き上げたりするだけでも、見た目の印象は違ってきます。
加えて、クロスや床材の一部だけを貼り替える「プチリフォーム」なら、費用を抑えながら見栄えを良くできます。
国土交通省の「既存住宅の流通促進に向けて」に掲載されたアンケート調査でも、購入を決めるうえで「清潔感」が大きく影響することが示されています。

「築年数が古いから売れない」とあきらめるのではなく、「古くても手入れが行き届いている」と感じてもらえる工夫を重ねることで、内覧時にほかの物件との違いを打ち出せます。
⑥|買主候補との交渉・条件のすり合わせと売買契約の締結
売却の終盤に訪れる交渉と契約手続きは、取引全体の成否を左右しやすい大切な局面です。
条件面で折り合いがつかなければ、ようやく現れた買い手を手放してしまうおそれもあるためです。
価格の交渉を例にとると、提示額の根拠を買主に納得してもらううえで、事前に受けた住宅診断の結果やこれまでのリフォーム履歴を資料として示せると、説得力が大きく増します。さらに、引き渡しの時期や残していく設備の有無といった細かい条件についても、双方で調整しておくことが求められます。
契約を結ぶ前の段階で、「重要事項説明書」と「売買契約書」の内容に目を通し、売主にとって不利な項目が含まれていないかを確かめておくと安心です。信頼できる不動産会社、あるいは宅建士に相談しながら進めると心強いでしょう。
重要事項説明書は、不動産の売買や賃貸借にあたって「契約を交わす前に、取引上の大切なポイントを買主・借主へ伝えるための書類」を指します。
記載される内容としては、物件の所在地や面積、法令による制限、権利関係、ライフラインがどの程度整っているか、管理費など、購入や契約の判断に欠かせない情報が挙げられます。法律上、宅地建物取引士(宅建士)が書面を用い、対面で説明することが義務づけられています(宅建業法 第35条)。
つまり、契約後に「聞いていなかった」というトラブルが起きないよう、前もって情報をきちんと共有しておくためのルールに基づいた重要な書類です。買主・借主の立場を守る役割を担う制度といえますね。
前もって準備を整え、誠実に対応していくことが、納得できる売却価格と円滑な契約締結への近道になります。
⑦|引き渡しに向けた準備(契約内容の確認・抵当権の抹消・書類の用意)
引き渡しに向けては、契約内容の最終チェックに加えて、「抵当権の抹消(※)」と「必要書類の用意」が大きなポイントとなります。
※抵当権の抹消は、「住宅ローンを返し終えた後、建物や土地に設定されている“借入れの証(=抵当権)”を登記記録から取り除く手続き」を指します
書類や手続きに1つでも抜けがあれば、引き渡しの日程がずれ込んだり、買主からの信用を失ったりするおそれがあるためです。
とりわけ住宅ローンの残債がある場合には、抵当権抹消の手続きを早めに司法書士へ依頼しておくことが欠かせません。
加えて、登記識別情報(旧:権利証)や印鑑証明書、固定資産税納税通知書などもそろえておく必要があります。
参考:法務局「抵当権抹消登記の手続きについて」
【準備しておきたい書類の一覧】
| 書類名 | 用途・説明 |
|---|---|
| 登記識別情報(旧:権利証) | 物件の所有者である事実を示す書類で、所有権移転登記の際に用いる |
| 印鑑証明書 | 本人確認のため、売買契約書や登記関係の書類に添える |
| 固定資産税納税通知書 | 売主・買主間で固定資産税を精算するときに用いる。買主が年間の税額を知るための資料にもなる |
| 抵当権抹消書類一式 | ローンを返し終えたあと、抵当権を消すために使う書類(弁済証書、解除証書、登記申請書など) |
| 鍵一式(スペア含む) | 買主へ渡すために必要。何本あるか、どう使っているかもあわせて確認 |
| 設備表・物件状況報告書 | 売り出しの際に提出した、設備の内容や建物の状態をまとめた記録 |
| ゴミ出し・清掃が済んだかの確認 | 内覧したときと引き渡しの時点で、室内の様子が変わらないよう気を配る |
準備の際にお役立てください。
さらに、設備の最終チェックや鍵の本数の確認、ゴミの処分といった細かな気配りも、円滑な引き渡しに欠かせない要素です。
手続きが一段落して気を抜きやすい時期ですが、最後まで丁寧に向き合うことで、気持ちよく取引を締めくくれるでしょう。
築50年マンション売却で気をつけたいポイント

築50年のマンションを手放すにあたって、売主として気をつけておきたい点を取り上げます。
意識しておきたいポイントは、次の2つです。
順番に詳しく見ていきましょう。
売り出し前にハウスクリーニングで室内を清潔に
売りに出す前に、ハウスクリーニングで部屋を整えておくことをおすすめします。
汚れを落として清潔な状態にするだけで、買主が受ける印象は大きく違ってきます。
次の資料は、中古住宅を検討しながらも最終的に購入を見送った理由を尋ねたアンケートの結果です。
室内のきれいさを判断材料にしている人が少なくないことが読み取れます。


なかでも、キッチンやお風呂、トイレといった水回りの清潔さを重く見る人が多い傾向にあるようです。
古い設備そのものは変えられなくても、掃除によって清潔な印象を保つことは可能です。プロのハウスクリーニングに依頼すれば、自分で掃除するよりもきれいに仕上がりやすいため、検討する価値があります。
ハウスクリーニングにかかる費用の目安を、次の表にまとめました。
| 【ハウスクリーニング費用の相場】 | |
|---|---|
| 間取り | 料金(税抜き) |
| 1K(25㎡前後) | 2.4万円~2.8万円 |
| 1LDK~2DK(40㎡前後) | 6.3万円~7.0万円 |
| 3LDK(80㎡前後) | 8.8万円~9.8万円 |
| 4LDK~5DK(100㎡前後) | 9.8万円~11万円 |
部屋全体ではなく、お風呂やトイレといった一部の箇所に絞って頼むこともできます。
| 依頼する場所 | 料金 |
|---|---|
| キッチン | 16,000円程度 |
| キッチン+防汚コーティング | 17,000円程度 |
| レンジフード | 15,000円程度 |
| ガスコンロ | 7,000円程度 |
| バスルーム | 15,000円程度 |
| バスルーム+防汚コーティング | 18,000円程度 |
| 洗面所 | 9,000円程度 |
| トイレ | 9,000円程度 |
水回りを磨いておくだけでも内覧時の見え方はかなり変わるため、ハウスクリーニングの利用を前向きに考えてみてください。
なお、一部の不動産会社では無料サービスとしてハウスクリーニングを付けてくれる場合があります。自分で業者を手配する前に、確かめておくとよいでしょう。
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欠陥の事前把握と契約書類への明記
物件に欠陥などの不具合がある場合は、売りに出す前に把握したうえで契約書類へ書き入れておきましょう。
マンションの売却では、買主と売買契約を締結します。
契約の場では、取引条件や物件の状態をまとめた売買契約書類を、売主・買主・不動産仲介会社の3者で読み合わせながら手続きを進めます。
欠陥についての記載が書類から漏れていると、引き渡し後に買主から契約不適合責任を追及され、売主が対応を迫られるおそれがあります。
【契約不適合責任について】
契約不適合責任は、事前に取り決めた目的物の種類・品質・数量について、契約の内容と合わない状態で引き渡した際に、売主が負うことになる責任を指します。
マンションの取引で契約内容と異なる欠陥が判明すると、補修費用の負担や契約の解除といった事態に発展することもあります。
代表的な欠陥としては、次のような例が挙げられます。
- 雨漏り
- シロアリによる被害
- 土壌の汚染
- 事件・事故
- 火災
- 騒音
- 悪臭
上記のような点を重点的にチェックし、把握できた欠陥は買主へ漏れなく伝えておくことが大切です。
欠陥を洗い出す方法としては、前の章で紹介した「ホームインスペクションを行うこと」が役立ちます。
仲介を不動産会社に頼めば契約内容のチェックは不動産会社が行ってくれますが、仮に欠陥が見つかったときに責任を負うのは売主です。
不動産会社に丸投げするのではなく、売主自身も書類の内容に目を通しておきましょう。
また、契約不適合責任を一定額まで肩代わりしてくれる不動産会社もあります。不安がある場合は、こうした補償を用意している会社に仲介を任せるのも一つの方法です。
売れ残った築50年マンションへの対処法と代替案

築50年マンションの買い手がなかなか見つからなくても、打てる手を知っておけば取れる選択肢は増えていきます。
売れないときに検討したい対処法・代替案は、次のとおりです。
・長く売れ残ったときにチェックしたい見直しポイント
・買い手のつかない築50年マンションの活用法
・どうしても売却できないときの最終手段「無償譲渡」
「なかなか売れない」という壁を乗り越えるために、取れる対処法と代替案を順に見ていきましょう。
長く売れ残ったときの見直しポイント|価格・広告表現・販売ルート
築古のマンションが長く売れ残っているなら、最初に「どこがボトルネックなのか」を落ち着いて洗い出すことが大切です。
築年数の古さだけで買い手がつかないと決まるわけではなく、価格や広告、販売の進め方を見直すことで反響が変わる例も少なくありません。
たとえば相場に比べて価格が高めだったり、写真の写りが良くなかったりするだけで、内覧の申し込みがまったく入らないこともあります。
売れない期間が長引いているときは、「価格」「広告表現」「販売ルート(掲載している媒体)」の各項目を順番にチェックしてみてください。
以下で具体的な改善のヒントを紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
価格設定と広告手法を見直すための具体策
動きのない物件に反響を呼び込むうえでは、価格と広告の見直しが重要なポイントになります。
価格面では、競合となる周辺物件よりも“わずかに安く”設定するだけで、反応が大きく変わることがあります。例として、4,200万円で買い手がつかない物件を3,980万円に見直すと、割安な印象が生まれて内覧の申し込みにつながりやすくなります。
広告面で特に大切なのは、物件写真が与える第一印象です。
不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」においても、画像を添えた広告でクリック率が向上した事例が紹介されており、写真の質が関心を集める要素のひとつであることがうかがえます。(参考)。
日中の明るい時間帯に撮った写真や、構図を整えた写真へ入れ替えるだけでも、閲覧数や問い合わせが増える可能性があります。
「価格をわずかに下げる」「写真の魅力を高める」といった工夫だけでも、購入を検討する方の反応は大きく変わり得るのです。
反響が落ちてきたと感じたら、まずは“物件の見せ方”を見直すことが、状況を好転させる第一歩となります。
築古物件の取引を得意とする不動産会社選び
古いマンションの扱いに慣れた、信頼のおける不動産会社に依頼することも大切です。
築40年のマンションは築浅の物件と比べて買い手がつきにくい傾向があるため、担当する不動産会社の営業力しだいで結果が変わりやすいのです。
築40年の物件を売り出すときは、以下の観点で不動産会社を比較するのがおすすめです。
- 古いマンションの売買実績が十分にあるか(同じエリアや同じマンションでの実績があればより安心)
- リフォーム・リノベーションまで一括で対応できる、ワンストップ型の不動産会社かどうか
古いマンションの売買を多く手がけてきた会社は、築古物件の売り方を心得ているため、成約につながる可能性も高まります。
さらに、買ったあとにリノベーションする前提で築40年のマンションを探している人も少なくありません。
こうした買い手を考えると、リフォーム・リノベーションも含めて一括で請け負う不動産会社に任せるのも有力な選択肢です。
築古物件を探している買い手と出会える確率が上がるため、売却につながりやすくなります。
依頼先を決めきれないときは、不動産一括査定サイトのおすすめを利用してみるのも一つの方法です。
査定を申し込むと複数社から結果が届き、各社と直接やり取りできるため、自分に合う会社を見つけやすくなります。
一括査定サイトとしては「HOME4U(ホームフォーユー)の不動産売却」が特におすすめです。
一度の申し込みで、最大6社に査定をまとめて依頼できます。
大手から地域密着型の不動産会社まで、幅広い会社が参加している点も魅力のひとつです。
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築40年の段階であれば、まだ打てる手は残されています。詳しくは築40年のマンションを売却するための条件で解説しています。
ホームインスペクション(住宅診断)の実施
住宅診断であるホームインスペクションを受けておくと、買い手がつきやすくなります。
【ホームインスペクションの概要】
ホームインスペクションは、物件の売買に先立って、住宅診断の専門知識を備えたホームインスペクター(住宅診断士)が建物や敷地のコンディションを調べ、不具合や改善が必要な箇所について助言する専門サービスを指します。
診断を受けることで、見た目だけでは判断できない不具合やトラブルの種を把握できます。
中古マンションの診断では、主に次のような箇所がチェックされます。
- 柱・梁
- 屋上・屋根
- 外壁・内装
- 床・天井
- バルコニー・共用廊下
- コンクリートの圧縮強度
- 給排水の管路や各種設備
壁にひびが入っていないか、排水管に漏水がないかといった点まで、丁寧に確認していきます。
費用は、中古マンションであれば約4万円〜8万円が目安とされています。
築50年マンションの老朽化を気にする買い手は多いものの、診断を受けておけば「建物の状態に問題がない」ことを示す根拠になります。
早期の売却が期待できるうえ、引き渡し後のトラブルを防ぎやすくなるという利点もあるため、可能であれば実施しておくと安心です。
仲介を任せる不動産会社の中には、ホームインスペクションをサービスとして用意しているところもあるので、自分で手配する前に問い合わせてみるとよいでしょう。
築浅物件にはない希少価値のアピール
新しい物件にはない希少性を打ち出すことも大切です。
築50年を迎えた物件だからこそのメリットもあるので、積極的に伝えていきましょう。
具体的には、次のような強みが挙げられます。
| 【築50年マンションを選ぶメリット】 | |
| 価格が手ごろ | 新築・築浅の物件と比べて、半額~3分の1ほどで購入できる |
| 好立地 | 駅近など、暮らしに便利なエリアに建てられている |
| 管理の履歴が見える | 管理の良し悪しが大切なマンションで、過去の管理の実態を確かめられる |
| リノベーション向き | 購入費を抑えた分、浮いた資金をリノベーションに充てられる |
とりわけ管理の実績を確認できる点は、マンションを選ぶうえで大きな判断材料になります。
築浅マンションの場合、今後どの程度きちんと管理されるかが読めない不安がつきまといます。一方、築50年マンションの場合はこれまでの管理状況を把握できるため、買い手は実態を確かめてから購入を決められる安心感があります。
手ごろな価格で購入し、リノベーションで自分好みの住まいに仕上げる買い方も人気を集めています。
築50年の物件だからこその魅力を、しっかりと打ち出していきましょう。
耐震基準の確認
耐震基準への適合状況を確かめておくことも有効です。
2章の「耐震性が低いと言われている」で触れたとおり、築50年マンションの場合、旧耐震基準のもとで建てられているため、耐震性を気にする買い手もいます。
ただし、旧耐震基準の時代に建てられた建物の中にも、新耐震基準の水準を満たす頑丈な物件や、耐震補強工事を済ませたマンションが存在します。
新耐震基準の水準にあると示すことができれば、耐震性に対する買い手の懸念を和らげられます。
さらに、新耐震基準への適合が証明されると、買い手は住宅ローン控除などの制度を利用できるようになるため、売却を後押しする材料にもなります。
管理組合に問い合わせて、新耐震基準への適合状況を確かめてみましょう。
築50年で売れ残ったマンションの活かし方|賃貸に出す・手を加えて売る
築50年を迎えたマンションに買い手がつかないときは、すぐに価格を下げるのではなく、売却以外の使い道や手放し方を一度考えてみることをおすすめします。
古さのある物件であっても、見方を変えると収益源になったり、将来の資産運用に役立ったりする道が見つかることがあるためです。
例として、周辺の需要や立地条件によっては賃貸に出して入居者を募ることで、毎月の家賃を受け取りつつ、売りどきを待つという選択も考えられます。
ほかにも、リフォーム・リノベーションで室内を整えて「暮らせる・見せられる住まい」に変えることで、購入希望者の不安がやわらぎ、成約まで進みやすくなる場合もあります。
買い手がいないからと諦めてしまうのではなく、「賃貸に回す」「手を入れる」といった道も視野に入れておくと、年数の経った物件の価値を活かしやすくなります。
ここからは、各方法の中身を順に確認していきます。
賃貸物件としての活用
築50年の物件がなかなか売れないときは、売り出しを続けることにこだわらず、貸し出して活用する方法も候補になります。
売却の成否は購入希望者の気持ちや相場の動きに影響を受けやすい一方、賃貸であれば立地や条件によっては安定した家賃収入が期待できるためです。
駅から近い、あるいは大学や病院が近くにあるといったエリアでは、建物が古くても家賃を抑えれば借り手が見つかる可能性があります。
借りたい人が多い地域なら、改修をしないそのままの状態でも、家賃の手頃さを優先する入居希望者から申し込みが入ることもあります。
加えて、管理業務を不動産会社へ任せればオーナー側の負担を軽くでき、空室が出たときの対応面でも心強いでしょう。
すぐに売り切ることだけにとらわれず、一定期間は家賃収入を得て、相場が上向いたタイミングで改めて売りに出すという考え方も選択肢に入れてみてください。
リフォーム・リノベーションで価値を高める工夫
買い手がつかない原因が建物の古さや室内の傷みにある場合は、リフォーム・リノベーションで見た目を整えると効果が期待できます。室内や設備がきれいな状態だと購入をためらう気持ちが薄れ、価格の話し合いにも前向きになってもらいやすいからです。
例えば、キッチンや浴室、トイレといった水回りに絞って手を加えるだけでも、「年数は経っているものの快適に暮らせそう」と感じてもらいやすくなります。

さらに、壁紙や内装を明るく清潔な雰囲気のものに張り替えれば、見学に訪れた人が最初に抱く印象を大きく変えられます。
費用が気がかりなときは、売ることを前提に見た目を最低限整える程度にとどめ、出費を抑えるやり方も考えられます。
古い物件は「状態の割に価格が手頃」と受け止められやすいため、小さな改修でも見栄えが良くなる効果は大きく、売却につながる例も多く見られます。
買い手が見つからないマンションの最後の選択肢となる「無償譲渡」
長く売れ残っているマンションは、売り出しを続けるより、最後の選択肢を取ることで損失の広がりを抑えられる場合があります。
所有しているだけで発生する固定資産税や管理費などの費用を何年も負担し続けると、最終的に損失が大きくなるおそれがあるためです。
代表的な方法として挙げられるのが「物件の無償譲渡」です。
物件の無償譲渡は、所有する物件を第三者へ「無料で譲り渡す」方法を指します。
具体例としては、「みんなの0円物件」のようなマッチングサイトを利用したり、各地域の自治体が設ける無償譲渡の制度やNPO法人などに引き取ってもらったりするケースが、ここ数年で増えつつあります。
「空き家差し上げます」というフレーズも、徐々に知られるようになってきました。
ただし、譲り渡す際には条件やリスクもあるため、専門家の意見を聞いたうえで慎重に検討することが大切です。
売る手立てが見つからず行き詰まったと感じるときこそ、大胆な決断が求められる局面といえます。いざというときに迷わないよう、早めに情報を集めておくと安心です。
無償譲渡で気をつけたいポイント
物件を最終的に手放す方法としては、物件の無償譲渡が候補に挙がります。
無償譲渡を進めるうえで気をつけたい点は3点です。最初に内容を確認しておきましょう。
- 引き取る側が本当に受け入れられるかの確認
費用のかからない譲渡であっても、引き取る側には【固定資産税】【管理責任】【将来の修繕費】といった負担が生じます。後から「聞いていた話と違う」とトラブルにならないよう、あらかじめ丁寧に説明しておくことが大切です。 - 登記の手続きが欠かせない
登記を済ませなければ、名義は譲渡後も自分のまま残ります。司法書士に依頼する方法も含めて、適切に手続きを進めましょう。 - 相続税・贈与税がかかる場合がある
無償であっても、引き取る相手が個人の場合は贈与税の課税対象となる可能性があります(価値が年間110万円以上となる場合)。課税されるかどうかは、税理士に相談して確かめておきましょう。
このように、「無料で渡せばそれで終わり」というほど単純な話ではありません。
贈与税などの主な税負担は受け取る側に生じますが、譲り渡す側でもある程度の費用はかかります。
登記に関する書類の用意や司法書士への報酬、固定資産税など、一定の出費が生じる可能性がある点も把握しておきましょう。
さらに、引き取り手が決まった場合でも、物件の瑕疵(欠陥)が後から見つかれば売主が責任を問われるおそれがあるため、契約書の内容を前もってきちんと整えておくことが大切です。
「放棄してしまえば済む」と軽く考えず、流れやリスクを理解したうえで、不動産会社や司法書士の助言を受けながら進めると安心です。
無償譲渡を進める流れ
ここでは、無償譲渡を進める際の流れを順に紹介します。
家族や知人、各種団体、空き家バンク、NPOなどを通して、物件を引き取ってもらえる相手を見つける
税金や管理の負担も含めて所有に支障がないと相手に納得してもらえるよう、条件を丁寧に伝える
合意した内容を書面に残すため、贈与契約書(譲渡契約書の場合もあり)を用意し、双方が署名捺印する
法務局へ登記を申請する(登記識別情報や印鑑証明書などを用意)
ここまでの手続きを終えれば、無償譲渡はひと通り完了です。
無償譲渡は「負の資産」から解放される方法として役立ちますが、相手の同意・法的な手続き・税金面の3点はしっかり確認しておきたいところです。
安心して物件を手放すために、【税理士+司法書士】といった専門家の力を借りながら進めるとよいでしょう。
築50年マンションの売却が進まない場合によくある質問
築50年マンションがなかなか売れずに悩んでいる方から、よく寄せられる疑問を取り上げて回答しています。
1つずつ順番に確認していきましょう。
築50年マンションを売る前にリノベーションするのは効果的?
【答え】リノベーションによって、築50年マンションでも買い手が見つかりやすくなる例は多く見られます。
理由は、外観や室内の印象、暮らしやすさが改善されると、購入をためらう気持ちが和らぎやすいためです。
一例として、キッチンを新しくしただけで「手を加えずに入居できる」と受け止められ、築年数より住み心地のよさが重視される場合もあります。
次に示すのは国土交通省がまとめた資料で、持ち家に住む人へリフォームした部位をたずねた結果です。水回りの工事が目立って多いことが読み取れます。

浴室・トイレ・キッチンといった設備を改修するだけでも、売却を後押しする要素になると考えられます。
駅から近い、人気の高い地域にあるなど立地に恵まれた物件であれば、部分的なリフォームやホームステージングによって物件の魅力を高められます。
一方で、リノベーションに多くの費用がかかりそうなときは、出費が膨らみすぎないよう気をつけ、売却価格に反映できる金額かどうかを落ち着いて見極めましょう。
「築年数は古いけれど、安心して快適に暮らせそう」と買い手に感じてもらえるような見せ方が重要です。
「築50年マンションは無料でも買い手がつかない」という話は事実?
【答え】無償でも引き取り手が見つからない物件は実際にありますが、築50年マンションの全部が該当するわけではありません。
こうした話が広まる理由としては、現行の耐震基準に適合していない物件や、修繕積立金が足りず今後大きな出費が見込まれる物件の存在が挙げられます。
さらに、交通アクセスに難がある地域では購入希望者が大幅に少なくなる点も、要因として考えられます。
例を挙げると、地方にある築古の物件では毎年の固定資産税が所有者の重荷になりやすく、購入希望者が現れにくい傾向があります。
とはいえ、駅に近い物件や都心のエリアにある物件なら、築50年以上であっても買い手が見つかった例は数多くあります。詳しくは冒頭の1-2「築50年のマンションは売れない」というのは本当?実際の売却状況」を参考にしてください。
根拠のない話をうのみにせず、ご自身の物件の状態や地域の特徴を的確につかむことが重要です。
賃貸需要のある築50年マンションは売却と賃貸のどちらが有利?
【答え】資産をどう運用したいかという目的と、今後かかる維持の負担を軸に検討するのがおすすめです。
| 項目 | 売る場合 | 貸す場合 |
|---|---|---|
| メリット | ● 短期間で大きな金額の現金を受け取れる ● 物件管理の負担がなくなる | ● 毎月の家賃収入を長く得られる ● 将来、自分で使うこともできる |
| デメリット | ● 貸し続けた場合より総収益が少なくなることもある ● 手元に資産が残らない | ● 建物の修繕や管理を引き受け続ける ● 空室や家賃滞納のおそれを抱える |
| おすすめの人 | ● 早めに資金を用意したい人 ● 管理に手間をかけたくない人 | ● 長い期間の収入を優先したい人 ● 物件を所有し続けたい人 |
売る場合の利点は、まとまった資金を短期間で確保できる点です。
これに対し、貸す場合は長期にわたって家賃を受け取れる反面、建物を修繕・管理する責任が残ります。
例えば、築50年の物件でも駅に近く借り手の多い地域であれば、ワンルームとして賃貸に出し、安定した収入源にできる可能性があります。
もっとも、給排水管などの設備は傷みが進んでいる可能性が高いため、入居者が住み始めてからの不具合への備えや修繕費用もあらかじめ計算に入れておきましょう。
「まとめて売却しリスクを手放す」か「資産として持ち続けて運用する」か、ご自身の人生設計や税金面の事情を踏まえて決めることをおすすめします。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
本記事では、築50年マンションに買い手がつくのかという疑問と、売却を進めるための具体的な方法をご紹介しました。
要点を改めて整理すると、次のとおりです。
◎築50年マンションにも一定の需要があり、実際に取引が成立している。
築50年という築年数だけを理由に、買い手が見つからないと決めつけるのは早計といえます。
◎築50年マンションの売却が難しいとされる背景
- 耐震面に不安があるとみなされやすい
- 建物の耐久面が心配されやすい
- 買い手の住宅ローン審査が通りにくいとの懸念
ただし、こうした懸念が築50年マンションの全物件に該当するわけではありません。
管理や修繕が適切に続けられてきた物件なら、築50年マンションであっても耐震面・耐久面で大きな問題がないケースは少なくありません。
住宅ローンについても、築年数を審査の制約にしていない金融機関が存在します。
◎築50年マンションの売却で押さえたい4つのポイント
- ホームインスペクション(住宅診断)を受ける
- 新しい物件にはない希少な魅力を打ち出す
- 築古マンションの取引を得意とする不動産会社に相談する
- 耐震基準を事前に確かめておく
本記事の内容が、築50年マンションの売却を円滑に進める一助となれば幸いです。
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